普通の起業家と社会起業家の違い

ビジネスとは、選択肢を提供することだと思っています。ハチドリ電力は、今まで決まった電力会社しか知らなかった人に、自然エネルギーという選択肢を提示しています。その選択肢を魅力的なものにするのが僕の仕事です。そして、その選択肢を選ぶかどうかは、消費者自身が決めることです。

 

よりよい社会をつくっていくための新たな選択肢をつくっていくのが、ソーシャル・ビジネスであり、社会起業家の仕事です。ですから、全体のパイを食い合うということは、ソーシャル・ビジネスにはないのですよ。そもそも現在の選択肢がよいものだったら、そこに新しい選択肢を提供する意味はありません。

ただの起業家だったら、市場が大きいとか、成長性が高いなどでビジネス参入可否を決めるかもしれませんが、マーケットからではなく、社会課題の大きさからアプローチするのが、社会起業家です。

社会起業家が新しい選択肢を提示すればするほど、生活者のみなさんがよりよい社会をつくるために参加できる活動は増えていきます。だからこそ、エシカル消費がしやすいように、社会起業家をもっと育てていかなくてはいけません。
 

ハチドリ電力という名前の由来


『ハチドリのひとしずく』(辻信一著、光文社)という本をご存知でしょうか?僕はこの本と出会い、作者の方に了解をいただいて、動画もつくりました。

この動画をご覧ください。もしかしたら、ちょっと泣いてしまうかもしれません(笑)。

ハチドリというのは、蜂くらいの小さいサイズの鳥です。小さい鳥のくちばしで、水を運んで山火事を消しにいくというお話です。そんなのなんの役にも立たないという人もいるかもしれません。でも、僕はこの精神がすごく大事だと思っています。

地球温暖化の話を聞いて、自分の家の電気を変えたからといって、それだけでは地球温暖化は止まりません。だけど、やらないよりもいい。もし、これをみんながやったら、何かが変わるかもしれません。微力だけれども、無力ではない。「ハチドリ電力」の名前は、この物語からとりました。

ボーダレス・ジャパンが、いま35事業あるといってもやはり微力です。めちゃくちゃ微力だけれど、やはりやらないよりはやったほうがいい。自分がやったからといって、世の中が変わると確信できるわけじゃないけれど、やるべきことはやる。

そういう人が増えていけば、結果的に社会が変わるかもしれません。地球温暖化が止まったら、それは文明の進歩ですよね。

このままだと、僕たちは10年後に、いまの子ども達に怒られると思います。20年したら、ひっぱたかれると思います。あんまり言うと、お前はエキセントリックだと思われてしまいますが、それでも『ハチドリのひとしずく』の主人公、クリキンディと同じで、自身にできることはやり続けていこうと思っています。

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