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楽しい食卓の秘訣はパートナーとの会話


志麻さんの著書でお馴染みなのが、フランス人の夫・ロマンさんの存在です。タサン家の“楽しい食卓”を形作っているのは、志麻さんの料理だけではなく、ロマンさんのパートナーシップも大きな要素なのだそう。

「ロマンは家事にも育児にもとっても積極的です。フランス人なので、家事や子育てを女性だけがするものではないという意識がもともとあるのですが、何というか私も、そろそろ“イクメン”という言葉自体がなくなるのが自然なんじゃないかなと思っていて。男性が家事も育児もやって当たり前なんだよっていうことを伝えていければなと考えています。でも、料理も家事もあまりにお母さんが難しいことをしていると、お父さんも子どもも手を出せなくなると思うんです。だから、みんなが参加しやすいように家事のハードルを思い切って下げてみるとか、そんな工夫も必要なのかもしれません」

料理をお手伝いする長男の息子さん。志麻さんが料理で忙しい時には、夫のロマンさんが本を読み聞かせるなどして、子どもの相手をするのがタサン家の日常風景。

子どもができると、生活自体が子ども中心となってしまいがち。家事も育児も二人三脚のタサン家でも子どもを中心にガッチリと協定を結んでいるのかと思いきや、志麻さんとロマンさんのパートナーシップでは、何より夫婦2人の関係を大切にしているそうです。

 

家の中の繋がりで一番強い関係性は、子どもと私じゃなくて、やっぱり夫婦の関係なんです。夫婦の関係がよくないと、子どもたちとの関係も上手くいかなくなると思っていて。だからロマンとは、子育ての大変さとか、私の仕事が今こんな感じですごく忙しいとか、いいことも悪いこともなんでも言い合って、お互いに理解し合うようにしています。注意したいことを伝える時には喧嘩にならないように、ちょっとユーモアを交えて伝えたり。そうすることで、ロマンもリラックスして耳を傾けてくれます」

ロマンさんはよく靴下をなくす(!)そうで、志麻さんはいつもジョークを交えながら注意するそう。「なかなか直りはしないんですが……」と苦笑いする志麻さんですが、周囲に夫の愚痴をこぼしてガス抜きするよりも、直接なんでも言い合うことの方がよっぽど大切だと断言します。

「日本はフランスに比べて、圧倒的に夫婦の会話が足りないと思います。子育ての相談も、どうしても自分の母親やママ友に相談してしまいがちです。でも、一番身近にいて、一番状況を理解してもらわないといけないのは旦那さんなわけですから、相談する優先順をまずは旦那さんにしてみるといいのはないでしょうか。そこで解決することばかりではないかもしれませんが、家庭で自分一人が抱え込まないことが大切。“今こんなに大変!”“ちょっとしんどいから助けてほしい!”という状況をパートナーと共有できれば、子どもたちと囲む食卓でも、お母さんは笑顔でいられるはずですから」

笑顔の食卓が生まれる、タサン家の何気ない日常風景
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『志麻さん式 定番家族ごはん』
著者:タサン志麻 日経BP 1400円(税別)

ゆるっと覚えて組み合わせを考えるだけ! 毎日の献立に役立つ厳選レシピはもちろん、志麻さん流の「しないワザ」やプロの手際、さらにフランス流の子育てなど、毎日がちょっとラクになるメソッドが満載! 食卓に笑顔が増えるヒントが詰まった一冊です。


撮影/柳原久子(water.fish)
取材・文・構成/金澤英恵

第1回「【タサン志麻さん】子育て中の“料理がツライ”を軽くするの3つの考え方」はこちら>>