40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない。

これは立場の異なる二人の女性が、それぞれの人生を見つめ直す物語。

 


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一筋縄ではいかない、離婚成立までの道のり
 

別居中の夫が離婚に同意しない...「離活」のストレスを緩和する意外な方法スライダー1_1
別居中の夫が離婚に同意しない...「離活」のストレスを緩和する意外な方法スライダー1_2
別居中の夫が離婚に同意しない...「離活」のストレスを緩和する意外な方法スライダー1_3


「秋田さん、いったん落ち着いてくださいね」

カフェの向かいの席に腰を下ろした弁護士の大柴先生は、頭を抱える美穂にコーヒーを差し出した。彼女は美穂を旧姓で呼んでくれる。

「相手方が調停に現れないことは正直よくあることです。最初にも言った通り、離婚まではある程度時間がかかりますから」

彼女の言うことは頭では分かっている。

離婚成立は決して簡単ではない。一度は本気で愛し合い、生涯添い遂げると誓った相手を罵り合いながら交渉を進める。そんなイバラ道を突き進まなければならない。

その覚悟はできていたし、貴之は簡単に離婚に応じないだろうことも予想はついていたはずだった。

けれど1回目の調停に夫が欠席したという事実は、美穂に思いがけないダメージを与えた。

月に一度のペースでしか行われない調停にこのまま夫が現れなければ、離婚は不成立になる可能性が高い。その後は強制力の高い裁判を起こすこともできるが、いずれにせよ時間と労力、そしてお金もかかる。

幸い生活費である婚姻費用だけは大柴先生の手腕で事前に合意書を交わすことができていたものの、この状況が長引くと思うと、どうしても気持ちが重くなった。

ようやく夫の洗脳から目覚め必死にここまできたのに、結局は彼の支配から逃れられないような気がしてしまったのだ。

「ご主人には私から確認を入れます。焦らずに進みましょう」

弁護士は親身にそう言ってくれたが、本物の「秋田美穂」に戻れるまで一体どれだけの月日がかかるのか、不安に襲われずにはいられなかった。
 

【写真】可愛い子供に裕福な生活……自由のない専業主婦・美穂は幸せ?
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