40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない。

これは立場の異なる二人の女性が、それぞれの人生を見つめ直す物語。

これまでの話
ファッション誌の編集部でキャリアを重ねてきたアラフォー独身の進藤早希だが、人生を変える決断をした美穂の姿に刺激を受けてWEBメディア『グレディ』への転職を決めた。しかし転職祝いをしてくれるはずの年下のカメラマン・北山隼人から未だに連絡がない……
 


「風の時代の女たち」連載一覧はこちら>>>

***

経済的・精神的に自立した女の特権

「結婚・出産よりも手に入れたい」40歳女がどうしても譲れなかったことスライダー1_1
「結婚・出産よりも手に入れたい」40歳女がどうしても譲れなかったことスライダー1_2
「結婚・出産よりも手に入れたい」40歳女がどうしても譲れなかったことスライダー1_3


「どうかした?」

小さく吐いたため息だったのに、目ざとい絵梨香に気づかれてしまった。

今夜はめずらしく、早希のマンションに女3人で集まっている。早希、絵梨香、そして朋子。転職の報告も兼ねたホームパーティーで、本当は美穂にも声をかけたが彼女だけ都合がつかなかった。

「何かあった?」

「え、いや別に……」

慌てて答えたものの、絵梨香も朋子も納得できないといった顔でこちらを見ている。

『進藤さん、来週末空いてます?転職祝いしましょう!』

実はついさっき、およそ1ヶ月の沈黙を破って北山隼人からLINEが届いた。

「二人でお祝いしよう」と言い出したのは早希である。しかしそのあと音沙汰がないから忘れられているのだと諦めていた。

連絡が来たことは素直に嬉しい。しかしそうやって些細なことに喜んでしまう自分が恐ろしくもあった。

早希は恋愛に向かない女だ。離婚前から別の男に言い寄られる美穂のようなモテ女とは根本的に違う。

隼人とは今後、仕事で今まで以上に近い立場となる。

美穂の夫との修羅場を救ってもらった時……いや、最初にバーで偶然居合わせたときから彼に特別な感情を抱いていた。そのことはもう認めざるを得ない。

それでも、無意味な恋心は封印しようと決意を固めたところだったのに。
 

【写真】40歳で大企業を追われた女のリアル……
▼右にスワイプしてください▼