トシハルは家事育児を担当するようになってから、ワンオペだった妻がなぜあれほどにブチギレていたのか、その怒りの理由を理解できるように。

 

そしてふさ子が“大黒柱妻”になって気づいたのは、夫の大変さでした。
仕事に精を出せる時間が増え、帰宅時間が遅くなっていったふさ子は、家に帰っても夫と子どもたちの団欒の輪の中に入ることができず、居場所を失って家の中をウロウロするばかり。

 

役割交替してからというもの、子どもたちと一緒にいる時間は夫の方が格段に上。「仕事にかまけたせいで家族に近寄れないなんて、身勝手な父親そのもの! 明日は早く帰ろう」と心の中で悲痛な覚悟をするも、時すでに遅し。

 

連日帰宅時間を守らず帰りが遅くなる妻に、ある日夫は「子どもたちと早く寝る」という“無言の抗議”を実行します。これは、以前ふさ子が夫に対してやっていた“無言の抗議”とまったく同じ方法でした。

 

自分のダメさ加減に呆れつつも、家に居場所がないためまっすぐ帰宅しない“フラリーマン”の生態や、しっかりした妻を持つ夫が“ちょっとだらしない女子の家とかでダラダラしたい”というわけのわからない愚痴に、うっかり共感しそうになるふさ子。