子宮や卵巣じゃない場所に「子宮内膜症」ができることはある?
→膀胱や腸、ごくまれに肺にできることがあります。


柳田:子宮内膜症のほとんどは卵巣や子宮の周りにできますが、「膀胱」や「腸」、あとはごくまれに「肺」にできることがあります。膀胱や腸にできると、下血などの症状が現れることも。肺にできた場合は、呼吸が苦しくなるなどですね。

宮島:「肺」ですか?! 膀胱や腸は骨盤内の臓器としてまだわかる気がするのですが、肺は子宮からかなり離れていますよね。なぜ肺に子宮内膜細胞が住みついてしまうんでしょうか。

子宮内膜症が「肺」に?! 実はたくさんある、自分では気付けない女性特有の病気とは_img0
 

柳田:その原因ははっきりとわかっていないんです。仕組みは卵巣にできた場合とまったく同じで、肺に住みついた子宮内膜細胞が毎月少しずつ出血を起こしてしまう。やがて肺に穴が空き、「気胸」という状態になり呼吸が苦しくなってしまう方もいます。

宮島:呼吸が苦しいという症状だけ考えると、肺そのものや近くにある臓器のことを疑いそうなものですが、「子宮内膜細胞」が原因だということは特定できるんですね。

 

柳田:「気胸」というのは通常若い男性に多い病気なのですが、女性で何度か「気胸」を繰り返している方を観察していくと、生理周期に合わせて症状が現れていたりするんです。その場合は、まれではありますが、子宮内膜症が原因となっている場合があります。子宮内膜症の診断をつけた患者さんの中には「内科や呼吸器科で診てもらっても原因がよくわからなかった」というケースも少なくありません。

宮島:そう考えると、婦人科は女性にとって“最後の砦”のような場所ですね。

柳田:婦人科の医師は、女性の体の不調に関する広い知識を持っています。ですから“最後の砦”と言わず、不安な症状をいつでも話せる“相談窓口”のような存在として活用いただけたらいいなと思っています。


柳田聡 Satoshi Yanagida
東京国際大堀病院 婦人科 副部長。医学博士。東京慈恵会医科大学 産婦人科医、講師を経て現職へ。婦人科腫瘍・女性医学が専門。根拠と優しさをモットーに、女性のライフステージに合った診療を心がけ、患者一人ひとりと向き合う。

宮島咲良 Sakura Miyajima
1983年11月9日生まれ。東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。大学卒業後の2007年、アナウンサーとして九州朝日放送に入社。2010年に同社を退社し、フリーアナウンサーに転身。また、アナウンサーの枠を超えて幅広く活躍。2011年に『ザ・デッド・エンド』で舞台に初出演。2014年には、テレビアニメ「くつだる。」のテーマ曲で歌手デビューを果たす。戦隊もののファンで、スーパー戦隊シリーズ「手裏剣戦隊ニンニンジャー」の挿入歌なども担当した。現在は、BS11「BSイレブン競馬中継」、ニッポン放送「天野ひろゆき ルート930」、MBSラジオ「増田貴久・中丸雄一のますまるラジオ」など幅広く出演中。
Twitter:宮島咲良=ぼっち戦隊ミヤジマン(@sakura1109m
Instagram(sakura_miyajiman


撮影/塚田亮平
取材・文/金澤英恵
構成/山崎恵

 

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第2回「子宮内膜症を経験した宮島咲良アナが振り返る、「重い生理痛」との蜜月関係」>>

第3回「不妊や卵巣がんの原因に...「子宮内膜症」を絶対に甘く見てはいけない理由」>>

第4回「妊娠や生理痛にもいいことづくめ!「子宮内膜症」の早期発見、その検査方法は?」>>

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