竹二:店舗数が増えなくなったとか、お客が減ったとか、そういうこと?

父:たぶんね。過去の業績を調べていけば原因はわかると思うけどね。これは想像だけど、いまあるほとんどのショッピングモールにセリアは入っちゃったんじゃないかな。日本にショッピングモールが仮に3000店あるとして、そのうちセリアが入ってるのが100店だとすれば、出店余地はある。でも競合のダイソーとかも含めるとおそらく全部のショッピングモールに何かしらの100円ショップが入っちゃってるんだと思う。そんで新たに開発されるショッピングモールの数もそれほど増えなければ、セリアの店は増えない、と考えられるだろうね。他には?

梅三:丸亀製麺。

父:これも面白い。丸亀製麺は上場企業のトリドールホールディングスという会社が運営してる。

※写真はイメージです(Shutterstockより)

梅三:この会社も上がってるね。

父:そうだね。10年前は360円だったから、6倍以上になってるね。ちなみに、この会社の株価を見るときに知っておかなきゃならないのは、丸亀製麺以外にいろんな飲食店をやってるってこと。ホームページを見てみよう。

梅三:ホントだ、すげぇいっぱいある。全部で19あるね。

父:でも知ってる店はほとんどないな。「長田本庄軒」の焼きそばくらい。

父:そう。トリドールの丸亀製麺の売上は6割くらい。多いと言えば多いけど、これだけをやっている会社じゃないってことは言える。だから丸亀製麺だけを見てもこの会社のことはわからない。

梅三:なるほど。

 

父:ちなみにアークランドサービスも「かつや」以外に鶏のから揚げの「からやま」とか、タイ料理の「マンゴツリー」などの業態もあるんだ。以前は100%「かつや」だったけど、いまは「かつや」以外の業態が店舗数ベースで3割くらいあるから、この会社も「かつや」だけを見て全体を語るにはちょっと無理があるのは、トリドールと同じだね。

竹二:よく行く店がたくさん出てきたけど、そういう視点で見たことなかったわ。

父:世の中のほとんどの人はそうだよ。ただ買い物や飲み食いをしてるだけ。だけどこれまでの話はそれほど難解ではないよな? 要はどれくらい利益が伸びそうかという掛け算をしているだけだから。

梅三:まあ、そうだね。

父:この店儲かってそうだなとか、新しい商品がたくさんあって楽しそうだな、っていう気持ちに、今回話した観点を加えれば、きっと株式投資で成功する。ニトリ、丸亀、セリアが好きな人は、お金持ちになれる可能性がある。つまり誰でもお金持ちになれる可能性があるってことだ。

梅三:俺もなれるってことだよね。

父:そう。さらに勇気と忍耐力を持てればね。

※記事内の株価は2021年9月2日時点のものです。個別の企業について詳述している箇所がありますが、当該企業の株式の購入を推奨しているわけではありません。

山崎将志(やまざき・まさし)さん
ビジネスコンサルタント、株式会社アジルパートナーズ代表取締役。1971年愛知県生まれ。東京大学経済学部卒。94年アクセンチュアに入社し、生損保、総合商社、製薬、リース、飲料メーカーなどに対するコンサルティングプロジェクトを経験。2003年に独立して以降、これまでに世の中に受け入れられた新規事業を5つ開発(失敗はカウント不可能)。10年に刊行した『残念な人の思考法』が34万部のベストセラーに。『「儲かる仕組み」の思考法』『社長のテスト』等、著書多数。

<新刊紹介>
『父さんが子供たちに7時間で教える株とお金儲けの教養。』
著者:山崎将志 日本経済新聞出版 1760円(税込)

2000年以降に生まれた子どもたちが、お金に困らない一生を送るためにはどうすればいいか? ビジネスコンサルタントの著者が考えるその唯一の方法「投資」について、2人の息子たちとの対話形式で学べます。なぜ株式投資をするの? 株価はどうやってきまるの? といった基礎知識から、GAFAMの時価総額が高いのはなぜ? ユニクロやソフトバンクやZOZOの社長はなぜお金持ちなの? などなど、身近な企業や著名人を例に挙げながらわかりやすく解説。親も子も「投資ってそういうことか!」と理解がぐんぐん深まる一冊です。

イラスト、写真/Shutterstock
構成/金澤英恵


関連記事
高校で株式投資を学ぶ時代に。投資家が断言する「知識以前に必要なモノ」>>

2040年に“学歴社会”は終わる...子どもの未来に絶対必要なものは?>>

東大生の87%が幼少期に触れ合っていたものとは?>>

本250冊、セミナー50本でわかった「お金の運用のたった一つの答え」>>

あなたの幸福度が丸わかり「10億円あったら何をしたいか」の答え>>