少子高齢化や核家族化が進み、全国的に問題になっている空き家の増加。これに対して、空き家解体費用の助成制度や解体時における固定資産税の軽減措置制度など、さまざまな制度が設けられています。しかし空き家をどうすべきか決めかねて、うっかりタイミングを逃してしまうとせっかくの制度が適用されないことも。今回紹介する加奈子さんも、そんな苦い思いをした1人です。

 


自宅の売却を検討するなら放置しすぎは禁物


世田谷に購入したマイホームに住む専業主婦の加奈子さんは、空き家になっている横浜の実家のことがずっと気がかりでした。夫に先立たれてひとり暮らしをしていた母親は、2018年の夏、要介護2になったことを機に有料老人ホームに入居。実家はしばらくそのままにしていましたが、母親はもう実家に戻る気配はありません。加奈子さんはもちろん、都内に住む兄妹たちも、今すぐ実家に帰ることはないという意志が固まり、ようやく実家の処分に向けて動き出しました。そこで1つの制度があることを知ったのです。

それはマイホーム売却時に利用できる「3,000万円特別控除」と呼ばれる制度です。これを使えば税金の一部が控除されるというものですが、どうやらそれには約3年という期限があるということが判明。それは「控除を受けるには、住まなくなってから3年経った年(3年経った日が属する年)の12月31日までに売却すること」という条件だったのです。しかし加奈子さんたちが3,000万円特別控除について知ったのは2021年11月のこと。母親は2018年夏に老人ホームに移ったため、あと1ヵ月で実家を売却しないと間に合いません。もちろんすぐさま売却手続きに取り掛かりましたが、閑静な住宅街にある戸建はそうすぐには買い手がつかず、加奈子さんたちは控除を諦めることに……。もしこの制度を使えていれば、一体いくら損をしなくて済んだのでしょうか。

 
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