高額療養費制度とは?


高額療養費制度は、高齢者に限らず全国民が受けられる制度で、医療機関や薬局の窓口で支払った額が上限額を超えた場合、超えた分が全額支給されることになっています。その上限額は年齢や所得によって異なり、民間医療保険の保証があっても利用することが可能です。ただし入院時の食事や差額ベッド代、先進医療費など、保険診療以外は対象外。申請には領収書が必要になる場合もあるので、必ず保管しておきましょう。

利用するには「限度額適用認定証」がポイント


高額療養費制度を受けるためには、ご自身が加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽの都道府県支部、市区町村国保、後期高齢者医療制度、共済組合など)に支給申請書を提出します。これを受けて審査が行われますが、通常、支給までには少なくとも3ヶ月程度かかってしまいます。しかし「限度額適用認定証」と呼ばれる証書を持っていれば、医療機関での支払いは自己負担限度額までとなり、払い戻しの申請が不要になります。ただし、限度額適用認定証の提示が必要なのは、70歳未満の方、または70歳以上75歳未満で標準報酬月額が28万円以上83万円未満の方のみ。

真由美さんの母親は69歳だったので、限度額適用認定証の提示が必要でした。ところが医療費の精算時にこの限度額適用認定証が手元になかったため、一時的に全額請求されてしまいます。一度払ってしまった医療費の支給には時間がかかりますし、入院などは医療費も高額になりやすいため、手術が決まった時点で限度額適用認定証を用意しておくべきでした。なお、限度額適用認定証の有効期間は1年となっているため、期限が切れてしまうと再度申請手続きをしなければなりません。

ちなみに、真由美さんの母親はご主人に先立たれているので当てはまりませんが、高額療養費制度は世帯合算も認められています。1回の医療費の支払いが上限額に満たない場合でも、同じ人がひと月に複数の医療機関にかかったり、同じ世帯(同じ健康保険)の人がひと月にそれぞれ医療機関にかかった場合、その合計負担金額が上限額を超える際は、高額療養費制度の適用となる場合があります(合計対象となる医療費にはさまざまな基準があります。詳しくは保険者へお問い合わせください)。

診療を受けた月の翌月の初日から2年以内であれば、過去にさかのぼって支給申請することもできる高額療養費制度。シニア世代だけの制度ではないため、思い当たる節がある方は、今一度調べてみてはいかがでしょうか。

写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子

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