医療費が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が支給される「高額療養費制度」という制度をご存知でしょうか。今回紹介する真由美さんの母親は、制度そのものの存在は知っていましたが、詳しく知らなかったために手術後に後悔してしまった1人。何をどうすれば制度をフル活用できたのか、話を伺ってみました。

 


自己負担上限額はひと月ごとのカウント


真由美さんの母親は、数年前から視野が狭くなってしまう眼の病気、緑内障に悩まされていました。年齢は69歳とまだ若かったため、残りの人生のことも考えて手術を受けることに。医師から「両眼なので1~2週間は空けましょうか」と言われ、10月に左眼、11月に右眼の手術を行うことにしました。手術費用は両眼合わせて24万円でしたが、高額療養費制度があるので自己負担はそれほどないだろうと悠長に構えていたのです。

ところが片目の手術が終わって病院で費用を請求された時、真由美さんの母親は重大なミスに気がつきます。それは、高額療養費制度の自己負担上限額が「ひと月(月の初めから終わりまで)」という括りでカウントされるということ。手術は10月と11月の2ヶ月にまたがって行われたため、支給額に大きな差が出てしまったのです。

所得と年齢から、真由美さんの母親のひと月あたりの自己負担上限額は57,600円です。もし両眼の手術をひと月にまとめられていたら、支払う額は57,600円で済みました。ところが今回はふた月にまたがってしまったため、左眼の手術で57,600円、右眼の手術でも57,600円取られることになってしまったのです。

 
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