書いたのは人間じゃない? 誰もが騙されたブログ記事


GPT-3を使った例として、さらに面白いニュースがあります。2020年8月に、「GPT-3が書いたブログ記事がニュースサイトの閲覧ランキングで1位になった」ということが話題になりました。記事のタイトルは「Feeling unproductive? Maybe you should stop overthinking」(非生産的になっている? 深刻に考えすぎないほうがいい)というものです。

驚くべきは、この記事を書くためにGPT-3が与えられたのは、記事のタイトルとわずか数行のごく簡単な内容だけだったということです。2万人以上の人がこのブログ記事を読んだにもかかわらず、人工知能が書いたのではないかと疑った人はわずか数人だったという点も衝撃です。

 


機械は「人に近い振る舞い」ができるか

 

GPT-3の劇的な進歩を見ていると、チューリング・テストが頭に浮かびます。チューリング・テストとは、世紀の数学者アラン・チューリングが提唱した「機械が人に近い振る舞いができるかどうか」を判定するためのテストです。具体的には、「相手が人間か人工知能か分からない状態で会話を行い、人間と人工知能を見分けることができなければ、その人工知能は人間と同等レベルの知能を持つと言えるのではないか」という内容です。