二つの職場でかけられた言葉の「共通点」


旅行代理店の仕事は忙しくて、それは過去のことを考えたくない私には好都合でしたが、とにかくてんやわんや。沖縄に特化した代理店で、ハイシーズンは大変な忙しさです。そんななかで予想外に時間を取られてしまうのが保険関連のお問い合わせでした。

同じ説明を繰り返すうちに、「これは紙1枚ですべてを説明するチラシのようなものがあれば、だいぶ時間が節約できるのでは?」と考えた私は、下っ端ながらに知恵を絞ってそれを作成してみました。

するとどうでしょう、そのチラシを配るようになってからお客様から保険に関するお問い合わせが激減したうえに、保険のお申込みがとても増えたのです。

「保険の申し込みが増えたの、町田さんが作ったチラシのおかげかもね!」と先輩からお褒めの言葉をいただきます。何もできなかったと思っていた演劇製作会社でも、パンフレットの文章を書くのだけは楽しかったし、ちょっと褒められたことをこの時思い出しました。

私、文章だったら、人より少しはうまく書けるのかもしれない。ほんのり嬉しく思いました。

「ライター」と名刺に刷ったものの、自信ゼロ。38歳オタク女子が陥った窮地【二足のわらじさん】_img1
 

それからも地道に仕事を頑張っていたところ、半年後に正社員として働かないかとお誘いを受けます。就職氷河期世代ですから、そのオファーは本来とてもありがたいお話でした。しかし同じタイミングで自分にとってとても大きなニュースが飛び込んできます。

 

ブロードウェイで16年におよぶロングランを続けていた、私の生涯最高のミュージカル『レ・ミゼラブル』の終了が発表されたのです。