大企業を辞め、起業することを躊躇わなかった理由


「起業する」というと、ハードルが高いと感じられるかもしれません。

でも、少なくとも私は、忙しい会社員として働きながら準備、起業することができました。やってみた感想は、思ったよりもずっとハードルは低いなということ。

あくまでも私の場合ですが、会社設立のためにかかった費用は24万円でした。手続きを自分で全てやることも考えましたが、司法書士の方にお願いしても2万円ほどしか金額は変わらなかったので、全て依頼し、効率よく設立することができました。

そして、ついに会社を辞める決心をします。

「安定」しているように見える大企業の正社員という立場を離れることに、周囲の反応はさまざま。会社でも、入社して3年目で辞める人はいなくて、同僚には大丈夫? と思われていたかもしれません。

でも私自身には、迷いはありませんでした。会社員時代の貯蓄はなんとか200万円ほどありました。それに、1年目のときにボーナスで散財をしてみたものの、旅行やショッピングにさほど熱狂はできず、あまりお金がなくてもやっていけるタイプだと自覚しました。贅沢せず、一人で暮らしていくくらいのお金は、なんとかなる。それよりも私を起業に駆り立てる理由がありました。

第一に、ブラジャーの構想を練ったり、交渉したり、発注したりしているほうが、何倍もワクワクしたから。ただ理想の下着について考えるだけではなく、それを商品化するためのあれこれが、結局はとっても楽しかったのです。

第二に、私の求める「安定」はこちらだったんだ、と気づいたから。大企業で細分化されたプログラム技術を磨くよりも、例えば会社のウェブサイトをイチから作ったり、マーケティングの勉強をしたり、工場と交渉したり、そういうことをコツコツとやって実地でスキルを磨いた方が、たとえブラジャーづくりがうまくいかなかったとしても、社会人の汎用スキルが身につくと直感しました。

私にとっては、会社やライフステージの変化に関わらず、どこでも通用する自分でいることこそが、安定だったのです。

実際に、独立して6年ほど経ちましたが、本業以外に「お客様を集められるウェブサイトの作り方をレクチャーしてほしい」とか「SNSでお客様とつながるマーケティングのノウハウを教えてほしい」などのお仕事のご依頼をいただくことも多いです。

会社運営のために必要に駆られて身につけたスキルを、現場で実践していくうちに、そのスキルそのものに価値が生まれることを実感しています。

 

そんなビジョンを持って、法人を設立、2016年に会社を退職しました。そしてすぐに、派遣会社で働きはじめます。

「え? 起業したから会社を辞めたのに、またすぐに派遣で働くってどういうこと?」と思われますよね(笑)。でも、これには私なりに、作戦があったのです。結果的に、これはとても有効なやり方だったので、お伝えさせてください。