「Yet To Come」は新たな夢のために旅立つBTSの物語


「Yet To Come」(新曲)
名声を手にした今、BTSはもはや以前のようにハングリーではありません。でも、夢があれば青春です。今もBTSは世の中が決めた目標ではなく、自分自身の夢に向かって走ると歌っているのです。

ヘーゲルの弁証法の核となる概念は、「正反合」です。「正反合」とは、 自ら現在の状態(正)を常に否認(反)し、さらに発展した状態(合)になることを意味します。つまり、「現在に満足せず自らを否認する」という意味です。


“Yeah the past was honestly the best
But my best is what comes next
I’m not playin’, nah for sure
あの日に向かって
息が切れるほど

….
(あなたは夢見るのか、その道の果ては何だろうか)
Moment is yet to come, yeah
(みんなが息を潜める夜、僕たちは足を止めない)
Yet to come
(We gonna touch the sky, ‘fore the day we die)
Moment is yet to come, yeah
(「Yet To Come」の歌詞より) 

 


イケメンのスターについて、「あの人は明日が一番カッコいい」と言うジョークがあります。日々さらにイケメンになるという意味です。ただし、毎日グレードアップする外見の裏には、努力があるのです。 

人生でもっとも美しく幸せな瞬間を指す「花様年華」という言葉。「Yet To Come」は、花様年華を弁証法の概念で歌ったものです。「昨日の花様年華(正)でアップグレードするべき部分(反)を見つけ、新たな花様年華(合)にリニューアルする」という自信。常に新たな目標を打ち立てて挑戦し、昨日の自分から脱するようにする過程が弁証法と合致します。たえず新しい波を求めて海に出るサーファーのように、新たな夢のために旅立つBTSの物語。それが「Yet To Come」なのです。
 

『BTSを哲学する』試し読みをぜひチェック!
▼右にスワイプしてください▼(実際の本は左開きです)

『BTSを哲学する』
(かんき出版)
チャ・ミンジュ:著
桑畑優香:訳

BTS の思想にもっとも近いと考えられるニーチェからヘーゲル、ハイデッガーなどに至るまで、さまざまな哲学者の思想とBTSの音楽、パフォーマンス、ミュージックビデオなどに込められたメッセージをひも解く世界的にも先駆的な本。 また、BTS が他のアイドルグループと一線を画す理由について、成功の公式という観点ではなく、どのような「違い」を追求したのか考察する。 



翻訳/桑畑優香
構成/露木桃子
 

 


インタビューの後編は7月8日公開予定です。