温かな言葉に癒やされると話題の産婦人科医、高尾美穂先生の新刊『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)が、5月27日に発売になりました。新刊から、女性の体や心の悩みに安心と解決法を与えてくれるお話をひとつご紹介します。

 


その場の空気を作るのは、
自分が選んだ言葉

 

私たちが普段選んでいる言葉は、今いる空間の温度感を決めるものなので、温かい空気を作れるかどうかは、どんな言葉を選ぶかにかかっています。

この言葉選びについて、まずひとつ、意識しておくといいと思うのは、言葉を伝える相手は、確実に自分以外の人、つまり他人だということです。
身近な人であろうと、あまり親しくない人であろうと、見ず知らずの人であろうと、〝他人〟に何かを伝えるのだから、自分の思いがそのまま伝わらない可能性のほうが高いと思っておくことが大事です。

伝えたことを相手がどうしていくかはその人次第なので、それを考えると、押し付けがましい言い方はしないようにしようなど、選ぶ言葉は変わってきます。
こういうスタンスで話すほうが、いい関係性が続いていくと思います。

 


相手との関係が、よい方向に変わっていくような言葉選びを


また、何か意見を求められたとき、賛成や同意の場合は問題ありませんが、反対の意見を伝えたい場合に、自分が思っていることのほうが正しくて、相手が思っていることは間違っているという態度で話しがちです。

でも、何かの物事に対して、数学的、あるいは科学的に正解がわかっている場合は別として、一般社会で「これが正しい」ということには幅があり、何が正しいかはケースバイケースだったり、とらえ方によって変わったりもします。

ですから、相手が言っていることが絶対に間違っているとは言い切れないと思って言葉を選ぶことも大事です。
なぜなら、面と向かって人と話すときは、深く考えずに瞬間的に言葉のやりとりをするので、つい本意ではないようなことを伝えてしまうこともあるからです。そうして相手を傷つけてしまうと、そこから先、いいコミュニケーションが生まれません。
私たちが言葉のやりとりをする相手とは、いい関係性を続けていきたいからコミュニケーションをとるわけです。

だからこそ、相手が傷つかないような言葉を選び、もし間違っていると思っても、よい方向に変わっていくような言葉で伝えることが大事だと思います。

 
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