オミクロンBA.5の特徴は? 感染力は?


現在、BA.4やBA.5が世界的に流行していて、日本でもこのBA.5への置き換えが急速に進んでいます。このBA.5は、先に述べた「人間が獲得してきた免疫から逃れる力が強い」という特徴と「増幅する能力も高い」という特徴を持っています。まだBA.5のデータは欠いていますが、BA.5以前のオミクロンとデルタを比較した研究では、再感染リスクがオミクロンで高い傾向も報告されていて、BA.5ではそれがさらに上昇している可能性が高いと思います。しかしこれは、逆に言えば、皆さんがちゃんと免疫を獲得してきたことの証拠でもあります。

 

人間が免疫を獲得しているということは、免疫の圧をウイルス側にかけている、ということです。ただ、ウイルス側も存続しないといけない。そして、存続するためには、免疫から逃れることのできるウイルスを生み出さないといけません。もちろんウイルスには意思がないので、偶然に生み出されているわけですが。
また、このBA.5は、動物モデルを見ると、肺炎を起こしやすい・重症化を起こしやすいのではないか、という懸念もありました。ですが、世界中のBA.4やBA.5が早く流行した地域で、重症化率や死亡率が増加したという報告はありません。相変わらず、重症化率はデルタ以前と比較をすれば低い状態を維持している、と思います。その理由の一つとしては、やはりワクチンの3回接種の広がりでしょう。2回目接種から3回目接種の上積みによる有効性の増加、持続性の恩恵が、非常に大きいと言えるのです。