ミニスカートは誰のためのもの?


わたくしごとですが、以前にこんな出来事がありました。あるクラシック好きの40代男性同僚と話していたときのこと。彼はユジャ・ワンという女性ピアニストの演奏のファンだそうなのですが、このユジャ・ワン、その実力に加えてミニスカートのピアニストとしても有名なのです。そのことに関して、彼がこんなことを言いました。「彼女の演奏は好きなんですけど、衣装が……。聴くほうはあんな衣装、求めていないのに」。

これにカッチーンときた私。「はあ?」とキレて、こうまくし立ててしまいました。「男性たちが女性のセクシーな衣装を喜ぶというニーズがこれまであったから、彼女だって知名度を上げるための戦略として着ているんでしょーが! それを彼女のほうが悪いような言い方をして。非難を向けるべきはミニスカートを喜んできた男性社会のほうでしょう!」と。まあこういうご時世ですから、男性はあっさり「すいません」と言っていましたが……。

それからしばらくして。20代後半の女性編集者と雑談をしていたとき、ひょんな流れがからこの出来事を話すことに。そして私は、「女性のほうを非難するなんておかしいよね!」と再びプリプリ怒りかえっていたのですが、その若い編集さんはさして同調する気配もない。あれ? と思っていたら、彼女はこう言ってきたのです。「でも、そのピアニストは好きでミニスカートを履いてるだけかもしれませんよね」と。

 

このとき私は、カツーンと後頭部を軽くはたかれたような気がしました。そうか、若い世代はもうここまで来ていたのか、と。そもそもミニスカートが男性の目を意識したもの、という私の発想は、もう旧世代のものだったのです。日本女性の意識は次のステージに突入していたんだ……と、思わず涙ぐみそうになってしまった瞬間でした。