最近はITシステムもさらに高度化されており、プログラミング作業の多くが自動化されています。企業にITシステムを導入する場合、かつてはSE(システムエンジニア)やプログラマーが企業の現場でヒアリングしながら、システムを手作りで構築していましたが、今は、一般社員が普段、操作しているパソコンと同じ感覚でシステムをデザインすることが可能です。

IT企業が提供するプラットフォームを使うことで、例えば、顧客名簿を作るシステムを作りたければ、画面にある各種部品(名前の入力、製品名の入力、品番入力)をマウスでドラッグ&ドロップして、たちどころに顧客名簿システムの画面をデザインできます。最終的にシステムに実装する際には、専門知識を持った人の作業が必要となりますが、システム開発の大半は、素人の社員でも対応できるのです。

ここで重要なのはプログラミングの知識ではなく、業務をどのようにシステム上に移植するのか、どうすればムダを無くせるのかという、業務やビジネスに関する知識です。むしろ、こうした知識というのは、日常業務でどれだけ成果を上げているのかに依存しますから、何かを教科書で覚えるという話ではありません。学ぶ必要があるとすれば、むしろ経営学やマーケティング、財務、統計などビジネス関連の知識でしょう。

 

また、業務をうまくIT化するためには、チーム内の意見をうまく集約化したり、各自が持っているノウハウやコツをうまくシステムに反映させる必要があります。コミュニケーションのスキルや言語化のスキル、あるいはプレゼンテーションのスキルを持っていることの方がずっと大事です。

 

リスキリング=プログラミングと考えるのではなく、一般的なビジネス能力をより高めていくと考えた方がより現実的でしょう。

リスキリングは一連のスキルを体系立てて学ぶ機会と捉えることが大事です。ITについては、技術者として活躍したい人を除き、ITを使って何ができるのか、どうすればビジネスをIT上に移植できるのかについて理解する程度で十分だと筆者は考えます。

 


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