元来食い意地が張っているワタクシ。美味しいものを知っているフランス人たちがそこまでせっせと使うものならば、料理もよりおいしくなるに違いない〜と、少しずつ試してみるようになりました。すると確かに、違うんです。例えば、それまでずっと「味が薄くてイマイチ」と思っていたポトフは、ブーケガルニをきちんと使うと香りが肉と野菜の風味を引き立てて、とても豊かな味わいになる。缶詰のパテなどはそのまま出すとなんだか寂しい感じですが、ディルやチャイブのみじん切りなどを散らすだけでおしゃれ見えし、味もぐっと深みが出るのです。

そのままだと色の薄いチキンフリカッセも、イタリアンパセリのみじん切りをパラリと振るだけで彩りアップ。

すっかり我が家の食生活に欠かせないものになったハーブ。カットしたものを購入するのでは飽き足らず、ベランダでも育てるようになりました。チャイブは意外と簡単に育ち、万能ネギが細くなったようなものなので、本当にいろいろな料理に使えて便利です。ミントとバジルは鉢植えだとぐんぐん育ちますし、キッチンで水耕栽培も可能。元気そうな枝を水にさしておくと、数日で根っこが生えてきます。

我が家の最近の新入荷ハーブは、フランス料理には欠かせないと言われるエストラゴン(左下)。ローズマリー(右上)はカットハーブで購入した残りを挿木にしてみたら、簡単に根付いてくれました。その左は三つ葉。

そして「ハーブってなかなか使いきれなくて」という声をよく聞くのですが、私的解決方法としては「残ったら全部サラダに入れる」です。ちょっと乱暴に聞こえますが、もともと生で美味しく食べられるものばかりですし、サラダ自体もグレードアップして見えるので、使わない手はありません。そうは言っても大量には食べられないよ〜というミントは、ラムと一緒にモヒートに。血行促進効果のあるローズマリーや殺菌効果の高いタイムは、毎朝飲む白湯に加えて消費しちゃいます。

 

ただパリもそろそろ寒くなってきて、ベランダハーブたちが終わりになってしまうのが残念。ですが来年には、「美食家のハーブ」と言われるほど繊細で優しい味わいのチャービルを育てて楽しもう(食べよう)と、今から企んでワクワクしています。


*次回からこの連載は、月1回に変更になります。次回は12月4日(日)公開予定です。お楽しみに!
 

撮影/Yas