体温が高い方が健康にいいの?「温活」するとどうなる?


山田:そうですね。まず基本的に、体温というのは、36度前後に比較的精密にコントロールされています。たとえば外の気温は、夏は暑く、冬は寒くなるほか、屋内と屋外でも温度が変わります。こうした外気温によって、体温は変化させられるリスクがありますが、36度前後に維持できるよう、体内でうまく管理されているのです。

編集:たしかに、外に出たからといって、体温が急に下がることはないですよね。

山田:詳しくは『健康の大疑問』の「冷え性は病気のサイン?」の項でも説明していますが、体温を維持するための精密な仕組みは、脳からの指令によって行われています。基本的には、そのように精密にコントロールされている体温を人工的に上げたり下げたりする、という行為は、体にとって負荷になる可能性がある、と捉えていただければよいですね。


編集:「温活」をして体温を上げよう! という記事も多く見かけます。

山田:ずっと暑い場所で厚着をするなどしていれば、体温を上げることができるかもしれません。ですが、その分体温を下げる機能が働き続けることになるので、体にとっては負荷となります。
もちろん、血行をよくして、ウイルスや細菌を倒さなければいけない時には、38~39度の熱が出ます。この場合は、体の防御機能が働いているということですね。体温というのは本当に厳密に、体に異常がなければ狭い範囲で管理をされています。逆に、「高体温」、「低体温」のように正常範囲か大きく外れてしまった場合には、いずれも不整脈などで命を落とすリスクになります。すなわち、体温が正常範囲にあるというのは、病気がなさそうというしるしの一つなのですね。

編集:「意図的に上げた体温を下げるために、体に負荷がかかる」ということにまで、考えが及んでいませんでした。

山田:また、「体温が高い方が代謝がいい」「免疫がよく働くので健康にいい」、という仮説を見かける一方で、「カロリー制限をする人は体温が少し低めで長生きする」という仮説もあります。どちらがいいと思いますか?