標準設定は「うまくいかなくてあたりまえ」

 

重子 だから、ミモレ読者のみなさんに伝えたいのは「うまくいかなかったらどうしよう」という不安が出てきたら、「うまくいかなくてあたりまえ」に変換してみて! ということ。これは、非認知能力では「リフレーミング」といって、マイナスからプラスの視点に変える手法でもあるんです。

▼「リフレーミング」(視点を変える/視点を増やす)の具体例
うまくいかなかったらどうしよう
↓(リフレーム)
うまくいかなくてあたりまえ
「正解」を見つけないといけない
↓(リフレーム)
自分の意見はいつだって自分にとっての正解
できない・苦手
↓(リフレーム)
知らないだけ・慣れていないだけ

重子 だって、ねえ。最初からうまくいくかどうかなんて、誰にもわからないじゃないですか。川良さんだって、編集長になってうまくいかないこと、いっぱいありませんでした?

 


「勝手に落ち込まない」自分になる練習


川良 それはもう! 山ほどあります(笑)。管理職なのに数字も見るのは相変わらず苦手ですし⋯⋯ 数えたらキリがないです。でも、自責の念がふつふつと湧いてきたら、すぐに「やめやめ!」って掻き消してます。苦手なことは得意な方に頼ったり、教えてもらいながら勉強していこうと。自分を責めないこと、これって、練習すると結構できるようになるんですよね。

重子 そうそう。だから「大丈夫」と声を大にして伝えたくって。最初からうまくやろうとしない。それだけでもハードルがぐんと下がるし、うまくいかないのがあたりまえなら、失敗という概念自体もなくなります。私だって、仕事でうまくいかなかったことなんて山のようにあるけれど、今日もちゃんと生きてるんですから。
 

ボーク重子(ボーク・しげこ)さん
Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。ICF(国際コーチング連盟)会員ライフコーチ。アートコンサルタント。福島県生まれ。30歳目前に単独渡英し、美術系の大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学、現代美術史の修士号を取得する。1998年に渡米、結婚し娘を出産する。非認知能力育児に出会い、研究・調査・実践を重ね、自身の育児に活用。娘・スカイが18歳のときに「全米最優秀女子高生」に選ばれる。現在は、「非認知能力育成のパイオニア」として知られ、140名のBYBS非認知能力育児コーチを抱えるコーチング会社の代表を務め、全米・日本各地で子育てや自分育てに関するコーチングを展開中。

川良 咲子
1976年生まれ。1999年講談社に入社。「FRaU」で14年間ファッションと読み物記事を担当し「with」を経て、2015年に「mi-mollet」へ。2019年7月にミモレ編集長に就任。二児の母。2022年1月より国家資格キャリアコンサルタント。

<書籍紹介>
『人生・キャリアのモヤモヤから自由になれる 大人の「非認知能力」を鍛える25の質問』

著者:ボーク重子 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1760円(税込)

変化の激しい不透明な時代に、キャリアへのモヤモヤを感じている方は多いはず。私たちが自分らしいキャリアを作るための武器は、偏差値やIQなどの学力として数値化できる認知能力ではなく、自己肯定感・自分軸・主体性・共感力など、数字で測ることができない能力「非認知能力」にある! そう教えてくれるのは、非認知能力育成のパイオニアとして知られるライフコーチのボーク重子さん。ポジティブ思考を身につけありのままの自分を受け入れる、「他人軸の自分」から卒業して人生の主導権を握る、「何となく+短期の人生設計」で、最高に自分らしいキャリアをつくるなど、ボーク重子さんの温かな声かけと共に、今の私たちに必要な「生きる力」「人間力」をコーチングしてくれる一冊!


イラスト:Shutterstock
取材・文/金澤英恵