「へバーデン結節」の治療法は? 何科に行けばよい?


山田:ご自身で「へバーデン結節かもしれない」と思われる自覚症状を感じたら、まずはきちんと受診をすることが大切です。似たような症状を起こす病気もありますので、受診をして、しっかりと診断を受けましょう。

編集:何科に行けばよいのでしょうか?

山田:整形外科や、その中でも手を専門にしている「手の外科(てのげか)」などが最終的な診療に当たることが多いと思います。ただ、内科で診療を受けることが間違い、というわけでありません。「へバーデン結節」の症状で、私のような老年医学医に相談にいらっしゃる方もいます。その場合、どのような病気か判別し、整形外科の先生に橋渡しをすることもできますので、安心してかかりつけ医に聞いていただくのがよいかと思います。

 

編集:わかりました! 仮に診断されたら、治療はどのように進むのでしょうか?

山田:大きく分けて、まず 「負担の軽減」、「リハビリ」、「痛み止め」 、この3つのアプローチで対応していきます。

まずは、関節の曲げ伸ばしの負担を抑えるために、サポーターやテーピングを使って関節を固定し、守る方法です。そして次に、リハビリです。作業療法士と呼ばれるリハビリを行う専門職の方から、この病気になった時の手の使い方や、どのような装具や器具を使用すればよいか、などの指導があります。最後は、痛みを抑えるための痛み止めですね。飲み薬を飲むよりも、痛む箇所に塗り薬や貼り薬を使う、外側からアプローチする方法が安全性の観点から好まれます。

こうした治療の3本柱が、「へバーデン結節」第一歩目の治療法、ということになります。

一方で、「フライパンが持てない」、「お箸が握れない」など症状が重い場合、局所注射を行い痛みを抑えることもありますが、最終的には手術を選択する場合もあります。

編集:手術の必要性を感じるほど、痛む場合もあるのですね……。

山田:そうですね。症状が徐々に進行し、変形が強くなったり、手がうまく握れなったりすることもあります。

編集:少しでも指に痛みや気になる症状を感じたら、放置せず、すぐに受診したいと思います。また、手や指の関節を酷使する生活習慣を振り返るきっかけにもなりました。本日もありがとうございました!

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写真 Shutterstock
構成/新里百合子

 


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