まとまったお金は定期預金に


資産運用の方法としては、主に株や投資信託、公社債などがありますが、今回の相談者・美沙さんのように投資経験がなく、なかなか踏み切れないという方もいるのではないでしょうか。実際、国がこれだけ投資を後押ししているにも関わらず、世帯の50%以上は普通預金や定期預金止まりという話もあります。投資が有利であることを知った上で、あえて避けているご家庭もあるでしょう。

それに対して、銀行などの金融機関にお金を預ける預貯金は、元本保証で最も安全な金融商品です。元本保証とは、預けた金額(元本)が減らないように保証されていること。元本保証の場合、損失リスクが低く安心感はありますが、高い収益は見込めません。

そこで預貯金において提案したいのが、「①普通預金ではなく定期預金を選ぶ」「②銀行のポイント制度をうまく活用する」という2つの方法です。

まず、美沙さんのようにある程度の金額を銀行に預けるのであれば、普通預金ではなく、せめて定期預金にしてみてください。定期預金のメリットは、普通預金よりも若干金利が高くなっている点です。ひと昔前に比べてお得感はだいぶ減りましたが、それでも探せば定期預金の利息を高めに設定している金融機関は存在します。

2023年5月現在、都市銀行や地方銀行の普通預金の金利は0.001%(税引前)に設定されています。これは100万円預けても、1年間でわずか10円しか増えないということ。ネット銀行を含む多くの金融機関がこれに続く中、楽天銀行は20倍の年0.02%(税引後0.015%)という少しお得な数字に設定しています。それでも100万円の預け入れに対して、1年間でわずか200円(税引後は159円!)しか利息がつきません。


定期預金はキャンペーンを狙って


一方、定期預金は銀行が不定期でキャンペーンを行うこともあり、そのタイミングをうまく活用すれば少し高い金利で預けられるケースもあります。キャンペーンはボーナス支給や新生活が始まる時期に合わせて行われることが多いので、手間を惜しまないのであれば、各銀行のキャンペーンをひと通り試すという方法も。定期預金は原則として出金できないため、確実にお金を貯蓄できる点もメリットの1つです。

スルガ銀行「スーパー定期はじめてプラン」
取り扱い期間:2022年11月28日〜2023年9月29日
新規口座開設者限定で、店頭表示金利に年利0.50%(税引前)を上乗せ


SBI新生銀行「スタートアップ円定期預金」
新規口座開設者限定で、3ヵ月の預け入れで金利1.0%(税引前/たとえば500万円預け入れた場合、満期時の受取利息は約9960円)、1年の預け入れで金利0.3%(税引前/500万円預け入れた場合、満期時の受取利息は約11950円)。口座開設によって最大3000円を受け取れるウェルカムプログラムも用意されています。


auじぶん銀行「夏のプレミアム金利円定期預金&スイッチ円定期預金キャンペーン」
取り扱い期間:2023年5月17日〜2023年8月15日

キャンペーンにエントリーして10万円以上預け入れると、金額に応じて最大10万円プレゼント(たとえば元本保証のプレミアム金利円定期預金に500万円預け入れた場合、利息に加えて現金2.5万円をキャッシュバック)

定期預金のデメリットは、途中解約するとほぼゼロに近い金利になってしまう点です。少しでも高金利になったら長く預けるように設定し、低金利時は短期間に留めておくようにしてください。なお、金利は定期預金の開始時に決められた額がそのまま反映されるので、その後金利が上昇したとしても、低金利で預け続けなければなりません。 

 

銀行が提供する各種ポイントサービス


新たに定期預金を始めたり、口座を開設するのは面倒という方は、現在使用している銀行で行われているポイントプログラムに着目してみてはいかがでしょうか。金利の高さで定評のある楽天銀行だけでなく、三菱UFJ銀行や三井住友銀行などのメガバンクでも、ポイントが貯まるサービスを行っています。

三菱UFJ銀行「Pontaポイント」
三菱UFJダイレクトへのログインや公共料金の口座振替などで、Pontaポイントが貯まります。


三井住友銀行「Vポイント」
三井住友銀行の各種サービスや三井住友カードの利用などで、SMBCグループの共通ポイントが貯まります。

楽天銀行「楽天ポイント」
ATMでの入出金や他行口座への振込など、取引内容に応じて楽天ポイントが貯まります。

セブン銀行「nanacoポイント」
セブン銀行の取引内容に応じてnanacoポイントが加算されます。

 

今は名前も聞いたことのないようなネット銀行からメガバンクまで、多くの銀行が乱立しています。今回の話とは少し逸れますが、金利や手数料に捉われず、使い勝手の良さで銀行を選ぶのも1つの方法です。たとえば身近なコンビニ(セブンイレブン)という場所で、7時~19時の間はATM手数料無料で下ろせるセブン銀行など、今の時代に合わせた銀行の使い方をしたいものです。


構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

 

 

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