「ミレーナ」はどんな人に向いている? 40歳以上にもオススメの理由は? 「IUD(子宮内避妊器具)」、「低用量ピル」との違いやコストについて。


鈴木:避妊効果と月経を軽くする、という目的では、「低用量ピル」を服用されている方が多いと思うのですが、その中でも比較的症状が軽い方は、「ミレーナ」にすると非常にお得になる可能性があります。というのも、「低用量ピル」を毎日飲むのって、大変ですよね。

 

編集:そうなんです。毎日だとうっかり飲み忘れてしまうこともありますし、お薬をもらうたびに病院に行くことになりますので、少し大変です。

鈴木:「ミレーナ」の場合は、一度装着したら、うまくいけば5年間はそのまま放置しても大丈夫なんですよ。もちろん最初の1年間は、定期的に位置がずれていないか、何か問題を起こしていないかなどの検診は必要なのですが、その後は1年に1回の検診でよいのです。

編集:ますます興味が湧きますが、「ミレーナ」は、どんな方でも装着できるのですか?

鈴木:たとえば、子宮筋腫がある方の中には、子宮の形が少し変化している方がいらっしゃるのですが、そうすると器具がうまく装着できずに抜けてしまったり、効果が限定的になる、ということもあります。ただ、子宮筋腫があったとしても、小さなものであれば、問題なく装着できますよ。

編集:40歳を過ぎたら、「低用量ピル」ではなく「ミレーナ」に変えた方がよい、と聞いたことがあるのですが、本当ですか?

鈴木:大きくは間違っていません。「低用量ピル」を服用している場合、高血圧になったり、血栓症の塊が足にできる「エコノミークラス症候群」のリスクがあるのですが、40歳以降で「低用量ピル」を飲み始める場合や、タバコを吸っている方はそのリスクが高くなってしまうんですよね。

ですから、40歳以降に新たに避妊や月経困難症などの治療を始める方には、「ミレーナ」をお勧めすることが、私個人としては多いです。

逆に言えば、今まで「低用量ピル」を服用していたのに、40歳になったから急に「ミレーナ」に変えなくてはいけない、ということではないんですよ。

編集:理解できました! ちなみに私は「PMS(月経前症候群)」もあるのですが、その場合は「低用量ピル」の方がいい、と聞きました。いかがでしょうか?

鈴木:そうですね、正解です。というのも、生理の直前に起こる「PMS(月経前症候群)」では、ホルモンの変動による影響を全身が受けて、イライラしたり突然悲しくなったり……という症状が出ることが多いですよね。「ミレーナ」ですと、子宮周辺にしか効果がありませんので、「PMS(月経前症候群)」であれば、通常は全身に作用する「低用量ピル」の方がよいはずです。

ただ、「ミレーナ」は前述の通り子宮周辺にしか効果がないので、「気持ちが悪くなる」といった、「低用量ピル」に起こりうる副作用が少ない、という側面もあります。

編集:「IUD(子宮内避妊器具)」と「ミレーナ」の違いについても教えてください!

鈴木:「IUD(子宮内避妊器具)」は、いわゆる昔からある子宮内避妊具ですね。「ミレーナ」との大きな違いは、黄体ホルモンが出るか出ないか、というところです。

また、通常「IDU(子宮内避妊用具)」は避妊が目的のため、基本的に保険適用ではなく、自費で3~5万円の費用がかかります。「ミレーナ」は月経で辛い症状があれば、病気の治療ということになりますので、保険が適用され、1万円程度の負担です。

編集:なるほど……! 「IUD(子宮内避妊器具)」と「低用量ピル」、そして「ミレーナ」の、それぞれの違いがわかってきました。 ちなみに、「ミレーナ」で子宮体がんのリスクが減る、と聞いたことがあるのですが、そんなことってあるのでしょうか?