トラウマによる三重苦① トラウマ体験が冷凍保存され、トラウマ記憶となる。なんらかの引き金により再体験症状などPTSD症状が起きる
② 喘息や、過敏性大腸炎、原因不明の疼痛、慢性疲労性症候群などの身体の様々な症状を引き起こす
③ 世界をネガティブな感情のフィルターを通して見てしまう、人間関係を築きにくくなる
 
 


① トラウマ記憶

まずトラウマ記憶についてですが、子どもの頃の逆境体験がなんでそんなに大変なのかを考えたときに、トラウマ体験の記憶は冷凍保存されるということがあります。時間が経っても色褪せないし、生々しい記憶がフラッシュバックして苦痛が生じるんです。悪夢を見たりすることもあります。これはトラウマケアによってトラウマ記憶の処理をすることができます。


② 様々な身体症状が起きる

ー先生のご著書『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本』(アスク・ヒューマン・ケア)の中で、トラウマの影響として「喘息や、過敏性大腸炎、原因不明の疼痛、慢性疲労性症候群など」といった身体症状が出ることがあると書いてありますよね。個人的な話なのですが、私も一部当てはまるところがあります。他にも偏頭痛が本当に酷くて、常に強い薬を飲んでいます。MRIを何回も撮っても原因が全くわからなくて。でも心療内科の先生にやっぱりトラウマが影響していると言われました。

白川:MRIで静的な瞬間を撮っても原因はわからないです。自律神経系の調整不全の話ですから。トラウマ記憶は体のメカニズムまで変えてしまいますし、自律神経系にも影響を及ぼします。例えば、綺麗な景色を思い浮かべると身体が休まりますよね。でもこの間ここで事故があった、なんて考えたら身体が緊張しますよね。これは、さあ緊張しようとか、さあリラックスしようとして起こることではないです。意識せずに行われる安全に関する知覚なんです。危ないぞと思ってそうなるんじゃなくて、自然になっちゃうわけです。ニューロセプションと言って、自律神経系による無意識によるリスクの学習作用が働くんです。