自分に合うものを探して試行錯誤する過程は、自分と向き合うこと


ーー私も坂口さんと同じで一重なんですよ。一重だと、アイラインを引いても埋まるじゃないですか。だから、目頭と目尻にぐいんって引くしかない。

坂口:本当にそう。よく二重の人が、二重幅に色があって、二重の上に色がないみたいなメイクをしていますが、できないです。「自分に似合うものは何か」と試行錯誤していく過程は、自分と向き合うこと。自分を受け入れて、好きになっていくことだと思います。昔、鏡を見るのも嫌だと思っていました。でも、これで生きていかなきゃいけないんだから、改善するところを探す。自分が理想としている自分になるためには、向き合って向き合って、受け入れていく。嫌いなまま、ずーっと生きていくのは嫌じゃないですか。少しでも、これでいいじゃんと思うところを見つけていく。自分のリズムで、本当に合うものが、わかる時がきます。行動も思想の部分も、自分から歩み寄っていかないと理想に出会えないことがあるんです。

大変だと思うんですよ。このマインドに行き着くまでにやっぱりズタボロになると思います。こうやって言っても、簡単には受け入れられないと思う。それでも、僕でもそれ以外の誰でもいいけど、今生き生きとしている、「この人なんか楽しそうにやってんな」って見える人に、実は自分が嫌いな過去があったんだと思うと、少しは安心できるのかなって思っています。

ーー今の自分が最高に好きっておっしゃっていましたが、それは無条件にそうなったのではなくて、いろいろやっての結果だというのがよくわかりました。

坂口:もう、洗脳だと思います、自分教みたいな(笑)。自分を好きになっておいたほうが、しんどくないですからね。

 

第2回「「我が道を行くのは意外と孤独じゃない」坂口涼太郎が強く否定されても迷わずにいられるようになるまで」>>

第3回「ジェンダー・平和・政治...「知るからこそ思いやれる」俳優・坂口涼太郎が社会問題を語る背景にあるもの」>>

 

東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『勧進帳』

 

キノカブ版『勧進帳』、満を持して、初の東京公演!
2010年初演、2016年に再創作され、フランス・パリ公演でも好評を博した、キノカブ版『勧進帳』。
義経一行の関所越えを描いた忠義の物語を大胆に再構築し、既成概念を打ち破った快作が、2023年、ついに初めての東京公演!
現代社会をとりまく<境界線>が交錯する、軽やかで濃密なドラマが帰ってくる。
弁慶が!義経が!あらゆるボーダーラインを超えていく─
歌舞伎と現代劇の‘あわい’を行き来するミクスチャープレイ、再び。
日程 2023年09月01日 (金) ~09月24日 (日)
会場 シアターイースト
監修・補綴 木ノ下裕一
演出・美術 杉原邦生 [KUNIO]

出演
リー5世 坂口涼太郎 高山のえみ
岡野康弘 亀島一徳 重岡漠 大柿友哉
スウィング:佐藤俊彦 大知

あらすじ
鎌倉幕府将軍である兄・源頼朝に謀反の疑いをかけられた義経たちは、追われる身となり奥州へ向かっていた。
道中の加賀国(※1)・安宅で、義経一行は自らを捕らえるための関所に行く手を阻まれる。義経は強力(※2)の姿、家来たちは山伏の姿に化けて関所を通ろうとするが、関守の富樫左衛門には山伏姿の義経たちを捕らえるよう命令が下されていた。そこで武蔵坊弁慶は機転を利かせて、焼失した東大寺を再建するため勧進(※3)を行っているのだと話す。すると富樫は、弁慶に勧進帳(※4)を読むよう命じるのだった。もちろん勧進帳など持っていない弁慶は、別の巻物を開くと、それを本物と見せかけて勧進帳の文言を暗唱してみせた。その後も一行は山伏を演じきり、関所を通る許しを得る。しかし、ふとしたことから強力が義経ではないかと疑われてしまった。緊迫した状況のなか、弁慶は義経をどこまでも強力として扱い、杖で打ち据える。それを見た富樫は、頼朝の命を破り、一行を通してやるのだった――。


(※1)現在の石川県小松市。
(※2)山伏に伴って荷物を運ぶ従者。
(※3)寺院の建立・修繕などのため、信者や有志者に説いてその費用を奉納させること。
(※4)勧進の目的について記された巻物形式の趣意書。

チケット取扱
【東京芸術劇場ボックスオフィス】
電話 0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00)
※一部携帯電話、PHS、IP電話からは、ご利用いただけません。
窓口 営業時間:休館日を除く10:00~19:00
WEB https://www.geigeki.jp/t/
※24時間受付(メンテナンスの時間を除く)

【全国ツアー】
★[沖縄公演] 
9月29日(金)~10月1日(日)
那覇文化芸術劇場なはーと 
大劇場(特設客席)

★[上田公演] 
10月7日(土)・8日(日)
サントミューゼ
(上田市交流文化芸術センター)
大ホール(特設客席)

★[岡山公演] 
10月14日(土)・15日(日)
岡山芸術創造劇場 ハレノワ 
小劇場

★[山口公演] 
10月21日(土)・22日(日)
山口情報芸術センター 
スタジオA

★[水戸公演] 
10月27日(金)・28日(土)
水戸芸術館 
ACM劇場

★[京都公演] 
11月4日(土)・5日(日)
京都芸術劇場 春秋座 
(特設客席)


撮影/日下部真紀
取材・文/ヒオカ