「腰痛」の基本。急な腰の痛み、原因の8割は?


山田:たとえば、昨日突然腰が痛くなった方と、1年以上前からずっと腰が痛いという方では、考えることが変わってきます。

私たち医師は、発症して1~2週間の場合は「急性腰痛症」、逆に3ヵ月以上、半年や1年といった長期間腰痛が続いている場合は「慢性腰痛症」という言葉を使って区別・整理しています。
この違いを理解していただくことも、腰痛を理解する上で大事なことかな、と思います。

編集:なるほど~!

山田:突然起こった腰痛って、やはり気がかりですよね。腰痛の原因を探ろうと、インターネットで調べることもあるかもしれません。すると「がんかもしれない」「感染症かもしれない」と色々な情報が出てきて、不安になってしまうこともあると思いますが、「急性腰痛症」の8割程度は、筋肉や靭帯の小さな傷や炎症が原因だということが知られています。

編集:そうなのですね! 少し安心しました。

山田:たとえば「ぎっくり腰」などもこの「急性腰痛症」に該当します。床に置いてある重いダンボールを持ち上げた時に痛みが出る、という場合などは、持ち上げた時に筋肉を傷つけた、と原因がわかりやすいと思うのですが、そうでない場合は少し厄介です。

人はそれぞれ座る時の癖、寝相などでも知らないうちに腰に負担をかけたり筋肉を傷つけたりするきっかけがあり、自分ではそれが原因とわかりにくい場合も多いのです。

ご自身では気がつかないので原因不明の腰痛と解釈し、心配されると思うのですが、それでもなお「急性腰痛症」の8割程度は筋肉や靭帯由来の痛みです。その場合、X線をとったりCT検査、MRI検査をしても異常は現れない、ということも知っておくべきことの一つかなと思います。検査をする意味がない腰痛が多い、ということですね。

「腰痛で病院に行ったのに何もしてもらえなかった」という印象を受けることもあると思うのですが、実は丁寧に情報を集め的確に診断をした結果、無駄な検査をしない、という判断をしていた場合もあります。

編集:毎日の癖や習慣は、自分では気が付きにくいですよね。ちなみに、残りの2割にはどんな原因があるのでしょうか?