——THE FIRSTの最終審査が終わり、BMSGのトレーニーになってから「アーティストになりたい」と本気で思うようになったそうですが、どのように意識が変わっていったのでしょうか?

REIKOさん(以下、REIKO):未経験でオーディションに参加した僕にとって、審査期間中にステージでパフォーマンスしている瞬間はアーティストという仕事をイメージしやすかったのですが、それ以外の時間で何をするのか、まったく分かっていなかったんですよ。でもBMSGのトレーニーになって、メディアの方々に取材をしてもらったり、スタジオに入ってレコーディングをしたり、プロモーション活動に参加したり……と、いろんなお仕事を経験させてもらって、ようやくアーティストという職業の全体像が見えてきて。漠然としていたお仕事の全貌がクリアになったことで、どんどん本気度が上がっていきました。

 

——トレーニー1年生の頃は、どんな目標を掲げていましたか?

REIKO:デビューの形式とか時期に関する目標は立てていなくて、とにかく武器を揃えたいと思っていました。ボイトレもダンスの練習もたくさんして、アーティストとしての能力を上げることだけを考えていて。でも特に重点を置いたのはダンスですね。もともと歌うことの楽しさは知っていましたが、ダンスの楽しさには「THE FIRST」に参加してから目覚めたので、それこそ腹ぺこの子どものように新しいスキルや知識を吸収することに飢えていました(笑)。

 

——実際に、オーディション期間中と最近のパフォーマンス動画を見比べると、別人級にダンスが進化していますよね。

REIKO:ヒップホップやジャズを中心に、いろんなジャンルのダンスレッスンを受けてきて、最近はクランプにも挑戦しているのですが、我ながら2年前と比べると上手くなってきた実感はあります。オーディション期間中の映像は恥ずかしくて直視できないですね……ポテンシャルがありそうな動きはしているんだけど、当時は見よう見まねでヨチヨチ歩いているだけでしたから(笑)。

——一方、歌に関してはオーディション初期から高い評価を得ていましたが、どんな課題感を持ってレッスンに取り組んでいましたか?

REIKO:定番の目標かもしれませんが、音域を広げたい願望が強かったですね。僕は18歳でオーディションを受けて、まだ高い声が不安定だったので、どの音域でも安定して歌えるようになりたいと思ってボイトレに励んでいました。まだまだ伸び代があると思いますが、8月にYouTubeで歌わせてもらった「366日」(清水翔太 feat.仲宗根泉(HY)のカバー)は、自分は成長した姿を披露するつもりで魂を込めて歌いました。「THE FIRST」の第二次審査でも歌わせてもらったのですが、当時と比べると、抑揚の付け方が上手くなってきたと思いますし、自分のパワーの生かし方が分かってきたような気がしています。

——YouTube「366日」については、SKY-HIさんもX(Twitter)で「とんでもない歌声」と、涙を流す絵文字を添えて絶賛しています。どうしてREIKOさんの歌声は泣けるのでしょうか?

REIKO:ありがとうございます。自分で自分の歌声を分析するのは難しいですが、歌を好きになってからずっと意識してきたのは、歌詞の世界に浸りながら……本当にその世界にいることを想像しながら歌うことです。寂しさを表現した歌なら、本当に寂しくなってしまう。そうなれることが自分の武器なのかな。

 

——正確に、上手に歌おうとするのではなく、しっかり感情を乗せて歌うことに集中していると。

REIKO:うん、そうです。うん。自分でも「いい歌が歌えたな」と思うときは、上手く歌いたい気持ちが最優先になっていないときです。音程を気にすることも大事ですが、そこにとらわれると気持ちが込められなくなってしまうのかなと思います。