変動金利の場合、金利が上昇するとローン支払額もそれにつれて増加することになります。もっとも変動金利商品の多くは、金利が上がった場合でも、支払額に反映されるのは5年目以降となる、最大でも1回の増加に当たっては125%までしか支払額は増えないという緩和措置が組み込まれています。しかしながら最終的に支払う総額が増えることに変わりはありませんから、ローン終了時に足りない分を一括返済する必要が出てくるかもしれません。

また、一部の商品は固定期間選択型と呼ばれ、一定期間は固定金利が適用されるものの、その後、変動金利に移行する商品もあります。このタイプの商品には激変緩和措置が組み込まれていないものも多いですから、契約の際には十分注意してください。

イラスト/Shutterstock

筆者は職業柄、「変動と固定のどちらがお得でしょうか」と聞かれることも多いのですが、厳密に申し上げると、どちらが得なのか理論上、判断することはできません。その理由は将来を完全に予想することは原理的に不可能であることに加え、変動か固定というのは、そもそも損得で選択する対象ではないからです。

 

一般的に変動よりも固定の方が金利が高いケースが多いですが、固定を選択すればローンの返済期間中、金利が上がったとしても同じ金利で済みます。つまり固定ローンの商品には、金利変動のリスクを回避する役割があると考えることができます。変動金利よりも固定金利の金利が高い分については、そうしたリスクを回避するための保険と考えれば分かりやすいでしょう。

つまり、一定の保険料を払って将来の安心を買うのか、状況に応じて支払額が増えることを許容するのかという観点で住宅ローンを選択した方が賢明です。

将来のリスクが気になるという人であれば固定を選択した方が良いでしょうし、多少、金利が上がって支払額が増えても家計に十分に余裕があるという場合には、変動を選択するのもアリでしょう。

ちなみに金利が上がり始めてから変動から固定に切り替えれば良いと考えてる人も多いと思いますが、現実はそう簡単ではありません。変動金利が上がり始めた時には固定金利はさらに高い金利になっているはずですから、仮に借り換えるにしても相当なコスト増となると予想されます。今から住宅ローンを借りるという人は、このあたりについて十分に検討してから商品を選んでください。
 

 

前回記事「「増税メガネ」はマナー違反か、許容の範疇か?岸田首相への揶揄から日本の民主主義を考える」はこちら>>

 
  • 1
  • 2