お金、モノ、地位による幸せは束の間

 

「幸せに働き、成果を出す」という大きなテーマを念頭に、そもそも幸せとは何かをもう少し説明させてください。

 


これまでの幸福研究で、人は他人との比較で幸せを感じる傾向があることが分かっています。さらに、幸せには「長続きしない幸せ」と、「長続きする幸せ」の2種類があることが分かっています。

「長続きしない幸せ」とは、例えば、おいしいものを食べたときの「うれしい・楽しい」という気持ちなどです。一般的にハピネスと呼ばれるこうした幸せは、経済学で言う「地位財」によってもたらされます。

「地位」とは自分が他人と比べてどのようなポジションにいるかという意味の地位で、地位財とはお金、モノ、社会的地位などを指します。こうしたものは、何をどれだけ持っているかを数字のようなはっきりした基準で示すことができ、人との比較が簡単にできます。そのため、周りの人よりも多く、より価値あるものを手にいれることに満足を感じますが、その気持ちよさは思いのほか短期間しか続かないのです。

例えば、会社の同期の中で一番に肩書がついたり、高価なブランドものを買ったりしたとき、どんな気持ちになるか想像してみてください。刺激の強い、分かりやすい喜びを感じますが、しばらくすると当たり前になっていませんか。「次」を手に入れて、新しい喜びを感じたくなります。人もうらやむ大富豪が、さらに資産を殖やそうとするのも同じこと。

お金や肩書といった「地位財」がもたらす幸せは長続きしないからこそ、「もっと、もっと」が止まらないのです。