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お店の側も、食券に記されている値段と、再注文後の値段の差分を、その場で現金決済できるのであれば、それで済ませてしまうという手もあります。400円の「かけそば」の食券を買ってしまったところ、450円の「たぬきそば」に変更したければ、カウンターで50円を払ってしまい、店員さんは食券に「たぬき」とメモ書きして、それでおしまいということです。このようなやり方であれば、お店にも大きな負担はありませんから、利用者もマナー違反を気にする必要はなくなります。ここで現金がないという場合には、変更をお店側が断ったとしても、問題ないのではないでしょうか。

 

こうした指摘を行うと、自動化で処理された結果と、実際の現金のやり取りが異なるのは経理上、大問題であるといった反論が返ってきます。確かにそうした面はゼロではありませんが、やはりこれも程度問題と言えるでしょう。

諸外国では、厳密にお釣りを計算することはせず、商品の値段が1ドル95セントだった場合、2ドルを出してそのまま帰ってしまう人も少なくありません。チップの習慣がある国や地域では、たいていの場合、サービス価格と渡したお金の差分はチップと認識されます。

実際に取引された商品の金額と現金残高が多少、合わないということが日常的に発生するわけですが、一定の範囲内に収まってるのであれば、税務処理上も許容されています。

日本よりも諸外国の方がIT化が進んでおり、デジタル上でデータを管理することについて、日本よりもはるかにしっかりしています。こうした国々において、ある程度の誤差が許容されているという現実を考えると、日本ももう少し柔軟に物事を処理してもよいのではないかと思います。

結論から言うと、食券の注文変更は、やはりケースバイケースであり、状況に応じた判断が必要でしょう。

単価が安く、多くのお客さんで混み合っているようなお店の場合、注文内容の変更はできるだけ控えた方が良いのは言うまでもありません。一方、お店の側も、食券の再発行は行わず、その場で対処するといった柔軟性が必要です。

日本の場合、チップの習慣がないため、店員さんがサービスしてくれるお店と、ファストフード的な店の区分が利用者側にとって希薄になりがちです。

ファストフード店的なお店で券売機が設置されている場合、自動化によって得られた利益は商品単価の引き下げにつながっているわけですから、過度なお願いは避けるべきです。しかし自動化されているからといってすべてが同じとは限りません。店での滞在時間が長く、単価が高い食事を提供してる場合には事情が変わってくることでしょう。このあたりは顧客も状況に応じて判断する智恵が必要となってきます。

 

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