女性の自立支援のため、背中ファスナーの服は作らない

――他にSNSで女性の洋服について知った「新たな視点」はありますか?

元鈴木さん:最初に気づいたのは、不器用な方が多いということです。背中のファスナーやコルセットのホックやリボンなどをうまく結べなかったりする方が多いんです。

ファッション業界はそういう方々の声を無視してかっこいいものを作る傾向があると思うんですけれど、弊社ではそういうお声も拾っていきたいと思い、背中ファスナーは一切作らないなどのお約束があります。結果、小さなことですがこういったことが女性の自立支援につながっていると信じています。


――他にはどんな「服づくりの時のお約束」があるのでしょうか。

元鈴木さん:洗える・伸びる、もしくはゆとりを持たせた作りであること。
そして絶対に「一人で着られる」というのが条件にあります。なので、背中の細かいくるみボタンや、コルセットでもホックでとめるものは作らないんです。
そういう服や下着って、貴族じゃないと着られないじゃないですか。パートナーや誰かに手伝ってもらわないと着られない、そういう服ってもう今の時代に合っていないんじゃないかって思っているんです。


現代は、女性が一人で生きていく決断もできる時代じゃないですか。それなら服もそこに合わせて、一人で着られる服がいいよね、っていう考えなんです。

――そういうところが元鈴木さんのお洋服が多くの方に支持されてるポイントなのかなと感じます。

元鈴木さん:弊社の価格帯くらいのお洋服だと、主義主張みたいなものがあるブランドさんってあまりないのかなと感じています。

シャネルさんとかのハイブランドだと、女性の自立を支援しましょうという主義なので、ポケットがついている服が多かったり、背中ファスナーでも長いグログランリボンなどがついていて一人でも着られる仕様になっていたりするんです。

でも、うちくらいの中小企業のブランドだと、可愛さやデザイン性の方を重視していて、ポケットが省かれるなどがあると感じています。なので、弊社のような中小企業だからこそ主義主張をしていく、フェミニズムを大事にして物作りをしていくことがすごく大事なのかなと思っています。

 


――最後にミモレ世代に向けて、ファッションについて伝えたいことを教えていただけますか。

元鈴木さん:私世代や少し上の世代だと「おしゃれは我慢」と言われてきて、染み付いているとおもうんです。若い世代を見ると「もう我慢したくないからカジュアルしか着ない」という声が多くて。

「それならエレガントでも我慢が必要ない服を考えることが必要なのかな」と思って私は洋服作りをしているので、よかったら私たちの洋服を手に取っていただけたら嬉しいなと思います。

弊社の洋服の愛用者の方って、下は小学校6年生から上は80代の方までいらっしゃって年齢層が幅広いんです。割と、流行を追わないヴィンテージスタイルのものが多いので、世代関係なく来ていただけるものが多いですよ。

「おしゃれは我慢」から一歩踏み出すことで、ちょっといい発見があるのかな、と思っています。
 

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次回の「SNSで見つけた『バズり人』さん」もお楽しみに!


構成・文/大槻由実子
編集/坂口彩
 

 

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