放デイは、学童保育と違って「子の療育」が目的のため、親が働いていなくても通えます。お友達同士で約束して遊びに出かけることができない子たちにとって、娘が通った放デイは、“異年齢の集団で過ごし、遊びを通して経験を積み重ねる"ことができる素敵なところでした。

—— どのような点が学童とは異なっているのでしょうか?

まず開所時間が短く、小学校の夏休み期間でも預けられるのは午前9時半から午後4時までと短く、苦労しました。

学校がある時期でも、平日は午後6時に閉所します。もっと開所時間が短い放デイもあり、働いている親は苦労しますし、医療的ケアの必要なお子さんは、受け入れ先を見つけることすら困難です。

私の場合、出社時間との兼ね合いから、午前8時半〜午前9時から娘を受け入れていただけるように施設にお願いしました。

「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」は、2022年9月に開かれた厚労省「障害児通所支援に関する検討会」のヒアリングで、育児と仕事の両立がなぜ必要なのか、放デイの受け入れ時間の拡充が両立支援になることをお話しました。2023年3月の報告書には、親の就労支援の視点が盛り込まれました。親が子を養うことができなければ、ヤングケアラーや虐待といった深刻な問題に直結します。いくつになってもひとりで登下校できないなど、終わりのない育児をしながら働こうとしている私たちのような家族が置かれている厳しい現状について、社会に「見える化」を続けて、知っていただくことが大切だと考えています。

—— 愛育学園には5歳の頃から通い始め、すんなりと溶け込んだようですが、放デイはいかがでしたか?

最初のうちはよく泣いていましたが、次第に慣れていきました。

お迎えの時間は最初のうちは午後4時にしていましたが、徐々に伸ばしていき、2年生になるころには終わりの午後6時まで楽しく過ごせるようになりました。娘のニーズに合わせて、建物の下にある大きな広場や、緑道によくお散歩に連れて行ってくださったこともありがたかったです。夏休みは毎日のように近くの公営プールに出かけていました。

さらに、放デイの方針で、葛西臨海公園や水遊びのできる大きな公園などに、積極的に公共交通機関を利用して出かけていくうちに、そういった移動や活動も慣れ、月に一度のお夕食会を楽しめるようになりました。

お夕食会では、施設のスタッフの方やボランティアの方が、手作りの夕食を作ってくださり、お友達と一緒にいただきます。大声を出してしまうことがあるという理由で、子どもを連れての外食などは難しいことも多く、子どもたちは“お友達と外食する機会"がめったにありません。だからこそ、お腹いっぱいになるまで、楽しくみんなでお食事するというのは、とても貴重な経験でした。


ただし、初めてが苦手の娘のため、遠足などの行事があるときは必ず事前に、週末に家族で予行練習に連れて行きました。

娘は愛育学園と地元の放デイで、安心して楽しい日々を重ね、ゆっくりではありますが、着実に成長していきました。