1年経って、気持ちがガックリ……!


特に、リンパ浮腫の初期症状と思われる体のむくみは意外と辛くて、気持ちまでネガティブになりました。退院後から生じていた太ももやお腹の軽度のむくみはじわじわと悪化し始め、最近はお尻や股にまでむくみを感じます。そのせいでいろいろと不都合を感じるようになりました。このままリンパ浮腫が進行したらどうしようと不安になることがあります。

服に隠れている部分なので、他人からしたらおそらくわからないレベルなのですが、ボディラインも微妙に変わってしまい、体重の増減があるわけでもないのに着られなくなってしまった服が増えました。ファッションを楽しみたいのに、洋服選びでも苦戦気味。

決して命に関わるような症状ではないのですが、地味〜な辛さを毎日抱えていて、気が滅入ってしまうことが多かったです(卵巣欠落症状によるメンタルの落ち込みもあるかもしれません)。

命に関わる問題ではないゆえに、病院の検診で相談しても「日常生活が送れない程のレベルではないなら、皆さんうまく付き合ってますよ」と軽く流されてしまい、このままこういう悩みを一生抱えていくのか……と気が遠くなることも。

しかし、落ち込んでいた私を明るい気持ちにしてくれたのは、読者の方がくれたメッセージでした。

“地味な不調”は、おそらくこれからも続くけれど……

 

ミモレのコラムや、個人的に書いていた闘病ブログを読んで、Instagramのアカウントにたどり着いてくださる方も多く、同じ病気になった方々がメッセージをくれました。

子宮頸がんになって、これから広汎子宮全摘術を受けることになった方。子宮頸がんの中でも私と同じ腺がんになり、情報がなかなか見つからず、いろいろ検索しているうちにコラムを見つけたという方。昨年全く同じタイミングで治療をして、今まさにリンパ浮腫の初期症状に悩んでいるという方……。いろんな方がDMをくれました。

 

私はインスタでは外食や旅行など、病気とは全然関係ない内容を載せることが多いのですが、これから手術や治療をするという方が「自分も1年後は小澤さんみたいに元気にお出かけしているかもと思えて、励みになります」と言ってくれたのが本当に嬉しかったです。

いえいえ、私こそ励まされました、と言いたい気分です。ミモレやSNSを通じて、女性同士の絆のようなものを感じることが多く、私たちは決して孤独ではないと思えるようになりました。

そうしていろんな方とやり取りしているうちに自分自身の一年前のこともありありと思い出し、あらためて、心と体の健康に気をつけて生きていこうと気持ちを引き締めました。

闘病していた頃は、がんをやっつけて、再発さえしなければ元気に明るく生きられる! と信じていたのですが、治療を終えた後も、こうした地味な不調を抱えながら一生うまく付き合っていかなければいけないんですね。ちょっぴり想定外だった……。

でもきっと多くのがんサバイバーの方々が、そうやって頑張っているのだと思います。私もくよくよせずに、自分の体調とうまく付き合っていきたいです。

がんは「治ったらそれでおしまい」と言い切れる病気ではなく、がんになるとやっぱり人生は一変してしまいます。

過ぎてしまったことを悔やんでも仕方ないかもしれませんが、こうして小さな体の不調に悩まされるたびに私は、「あの頃、もっと早く婦人科に行っていたら、違う未来が待っていたのかもな……」という考えが頭をよぎります。

本連載で私が最も伝えたかった、定期的な子宮がん検診を受けることや、異変を感じたら躊躇わずに婦人科に行くことの重要性。それをあらためて伝えたいと強く思いました。


イラスト・文/小澤サチエ
医師監修/東京慈恵会医科大学 産婦人科学講座 柳田聡
構成/山本理沙

 

前回記事「がんになったら仕事は辞める...?子宮頸がんになった私が「治療中も仕事は休まない」と決めた理由」>>

 
  • 1
  • 2