幸せなキャリアは「偶然の出会い」からもたらされる

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川良:「プランドハプンスタンス理論」※ですね。私はこの理論がとても好きなんです。私自身、偶然の出会いや雑談の中から良い企画が生まれたり、キャリア形成につながったりした経験があります。それに、もともと寄り道や“ムダなこと”が大好きだったりして。この理論や先生のお話を聞いて、自分が肯定された気がしました。

※プランドハプンスタンス理論……スタンフォード大学のジョン・J・クランボルツ教授が提唱した「個人のキャリア形成において、最大で約8割が偶然の出来事に左右されている」という理論

高橋:私たちが過去に行った調査では、幸せなキャリアを形成している人ほど職業人生における偶然の出会いを経験しているという結果が出ています。ここで大切なのが、良い偶然が起こるよう行動することです。ではどうしたら良いかというと、まずはなんとなく惹かれるもの、興味のあるものを大切にすることです。

川良:好奇心を持つことが大切なんですね。ミモレが実施した40~50代女性の生活意識・実態を知る『ミドルエイジ女性白書』に興味深いデータがあります。

ミドルエイジ女性は「好奇心」や「冒険心」が高いという結果が出たんです。さらに、「学び」や「学び直し」に対する意識も高くて。この点は、“幸せなキャリア形成”のためにおおいに生かせますよね。

 


一つの専門性よりも「合わせ技」が効く時代

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高橋:それはとても良いことですね。「勉強」「学び」と聞くと、日本人はどうしても「やらされるもの」と捉えがちですが、そうではなく、学びは自己投資。違うステージに行きたければ、自ら学べばいいのです。

また、複雑化し、変化が激しい現代社会では一つの専門性だけではバリューが出にくくなっています。二つの専門性を組み合わせることで、オンリーワンのキャリアを築いていくことができるのです。そのためには、経験的専門性だけでなく、体系的な学びも大切です。

——そうすると、編集という仕事を極めて、さらにまったく違う分野の「キャリアコンサルタント」を学び資格取得された川良編集長は、まさにオンリーワンのキャリアですよね。

川良:たしかに、周囲に「キャリアコンサルタントの編集長」はいないかもしれません。「キャリコン編集長になろう!」と思ってキャリアコンサルタントの勉強を始めたわけではないのですが、結果的にミモレという場で活かすことができています。

以前から「ミモレの読者のみなさんはセカンドキャリアに悩んでいる」と感じていて、その悩みや課題をさまざまなキャリア理論によって裏付けできたのがとても良かったですね。より良いコンテンツ配信をするための判断材料にもなっています。