理想的には、仕事の進め方をもっと柔軟にし、各自が休みたい時に休めるような社会にするのが望ましいでしょう。筆者はかつてはサラリーマンでしたし、経営者だったこともありますから、まさにカレンダー通りの生活をしていましたが、今は文筆が主な仕事なので、時間が自由になります。

海外旅行の際にも、チケットがもっとも安い時期を狙って行くことができますし、国内の場合には平日をうまく活用することで混雑を回避できます。こうした休み方は、サラリーマンでもある程度までなら実現できるはずであり、実際、先進諸外国では柔軟に休日を取得しています。日本だけができないというはずはありませんから、やはり工夫する余地があるでしょう。

休日の分散は、機会の平等という点においても大きな効果を発揮します。

例えば欧州では、低所得な若者に移動や旅行の機会を保証するため、高速鉄道を中心に、閑散期あるいは閑散時間帯を利用した格安チケットが提供されています。

東京-大阪間の新幹線料金はのぞみの指定席の場合、約1万5000円ですが、ほぼ同じ距離となるパリ-ボルドー間のTGV(フランス版新幹線)の通常料金も日本とほぼ同じ1万6000円です。しかし、1カ月以上先の予約にすれば運賃は大幅に安くなり、約7000円のチケットも見つけることができます。
極めつけは、限定された列車に適用される超格安料金です。本数は少ないのですが、東京-大阪と同距離が何と1300円というチケットまで存在しています。つまり東京-大阪を日本の10分の1の料金で移動できるのです。

こうした格安チケットは、乗客が少ない時期や時間帯を狙って設定されていますから、運行事業者にも大きなダメージはありません。こうした政策がうまく機能しているのは、労働者が柔軟に休みを取れる環境が確立しているからです。

欧州では、行きたいところに移動できるのは、国民が持つ基本的人権のひとつとみなされており、格安チケットの制度もこうした考え方をもとに実施されています。日本でも近年、所得格差が激しくなっていますから、移動の自由を保証するという考え方も必要となってくるでしょう。

残念ながら日本の新幹線にはこうしたチケットはありませんが、国際線の航空券や海外のホテルは時期を選べばかなり安くなります。このGWは働きづめという人は、どこかでまとまった休みを取り、安いチケットでの旅行を満喫してはいかがでしょうか。

 
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