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大人がメイクで「生き生きした肌」をつくる方法【水野未和子×松本千登世】

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3 そぎ落とすことで、“強く”する

 

松本:センターパートにしてみたいとずっと憧れていたのだけれど、「自分には似合わない」と決めつけて、諦めていました。こうして挑戦してみると、自分も知らなかった新しい顔を発見できた気がして、すごく嬉しい!

水野さん:ヘアスタイルもメイクアップも、余計な要素をそぎ落とすほどに、よりその人自身が際立ちますよね。ヘアスタイル同様、眉も凛とした印象に。千登世さんがもともと持っている形をそのまま生かしながら、凛とした印象になるように整えました。決め手は、仕上げに使った、透明のアイブロウマスカラ。眉の毛、一本一本にツヤとハリを与えることで、眉もディファインされるんです。今回は、アナスタシア ミアレ クリアブロウジェル(*3)を使いました。

松本:凛々しいのに、「男装」感は一切なし(笑)! 

水野さん:ディファインメイクの特長でもある歌舞伎アイライン(目頭と目尻を際立たせるアイライン)は、千登世さんの場合、長く伸ばしすぎると、きつい印象にもなりかねない。眉を強調した分、今回は控えめに。ただ、もともとまつ毛が密に生えているかのように目のフレームを際立たせる忍者アイラインはきちんと入れて、意思の強さが目に宿るようにしました。そのほうが眉とのバランスもいいと思います。

 

*3
眉毛一本一本にスタイルキープ成分をコーティングし、立体感と毛流れをふんわりとキープ。眉全体に自然なツヤとハリを与える。「ブラシの形状も使い易く、ホールド力も抜群。さすが、眉のプロフェッショナル!」(水野さん)アナスタシア ミアレ クリアブロウジェル ¥3300


松本:歌舞伎アイライン、忍者アイラインは、自由に調整すればいいんですね。ちょっとしたことなのに、「なんだか違う」顔になる。ディファインメイクって、やっぱり面白い。

水野さん:眉や目のフレームが際立つように、まぶたや唇には、光と影をプラスするだけのミニマムなメイクを施しました。アイシャドウは、スック トーン タッチ アイズ 01(*4)を使用。「影色」というネーミングの通り、まぶたを染めるように色を均一に整えつつ、ニュアンスのある影を演出できます。リップカラーは、パルファム ジバンシイ ルージュ・ジバンシイ・ノワール 05(*5)を使用。一見、アヴァンギャルドな色に見えるかもしれないけれど、じつは唇に乗せるともともとその人が持つ唇の色を生かしながらトーンをワントーン落とし、輝きでコーティングされる印象で、唇の形や立体感がディファインされるんです。

松本:色の存在を感じさせないワントーンメイク、もともと大好きなのだけれど、年齢を重ねるほどに、顔色が悪く見え、疲れ印象、老け印象に繫がる気がして、次第に遠のいていました。ディファインメイクなら、ワントーンも楽しめる! なんだか今日、ファッションもメイクも「自分らしい」と思えて、全身の細胞が大騒ぎしているみたいです(笑)。

水野さん:そう言ってもらえると、本当に嬉しい! ディファインメイクはその人らしさが際立つこと、そしてその人らしさを愛せること、それが目的だから。

 

*4
ブラシを使って柔らかく染めるように、チップを使ってアイラインのようにもと、自在に使える万能色。艶を消したようなフロストな質感で、美しい影を演出。スック トーン タッチ アイズ 01 ¥3700

 

*5
透け感のある、ブラックのニュアンスに煌めきが散りばめられたリップスティック。唇のpHに反応してその人だけのカラーに発色。カジュアルにもドレスアップにも似合う、モードな1色。パルファム ジバンシイ ルージュ・ジバンシイ・ノワール 05 ¥4600

 


男性を見るように、自分を見る


松本:じつは私、未和子の取材を進める中で、数えきれない発見があったのだけれど、中でもはっとさせられたのは、「どうして、男の人を見る目で、女の人を見ないの?」という言葉。男性に対して、私たちは外見だけで判断しないで、内面を見ようとする。長所はもちろん、欠けている点や変わっている点さえも「個性」として愛おしく思える……。それなのに、なぜ女性に対しては、外見にばかり、しかも欠点にばかり目を向けるの? と。とてもシンプルに、「確かに」と納得させられたんです。女性に対しても、いや、もっと言えば自分自身に対して、そんな目を持てたら、最高。もちろん、コンプレックスやエイジングに溜息をつくことはあるけれど、でも、でも、一方で「これも私の個性」といい意味で笑い飛ばせるようになった。ディファインメイクが教えてくれたことです。

水野さん:えーっ、嬉しい! 私にとっては当たり前のことだったけれど、こうしてみんなにメッセージが届いていると思うと、本当に嬉しい。

松本:そう、未和子の言葉のシャワーを浴びて、ディファインメイクを知ったら、私、自分の素顔を好きと本気で思えるようになったの。この顔、この私をくれた両親にも素直に感謝できるようになりました(笑)。

水野さん:私がメイクアップを通じて伝えたいと思っていたのは、まさにそういうこと。唯一無二の自分を愛せるようになったら、毎日が楽しい、人生が楽しい! ぜひ、ディファインメイク、トライしてみてください!

メイクの先にある「本質」を教えてくれた水野さん。自分を見る目が変わって、これからが楽しみになりました。ありがとうございました!

水野未和子(みずのみわこ)

メイクアップアーティスト。オレゴンに留学後、イギリスに渡り、London College of Fashionでメイクアップを学ぶ。卒業後、フリーランスのメイクアップアーティストとしてロンドンでキャリアをスタートし、帰国後は多くの雑誌や、KOSE、POLAなどの広告、CMなどを手がける。人によって違う、その人だけの魅力をディファイン(明確に)するメイクに定評があり、数々の女優やモデルが厚い信頼を寄せる。【Instagram】@mizuno.miwako

松本千登世(まつもと ちとせ)

美容エディター。1964年鳥取県生まれ。神戸女学院大学卒業後、航空会社の客室乗務員、広告代理店勤務を経て、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務し、編集作業に携わる。その後、講談社で専属エディター&ライターとしての活動を経て、フリーランスに。女性誌や単行本など美容や人物インタビューを中心に活躍中。幅広い知識と穏やかな人柄が人気。著書に『もう一度大人磨き 綺麗を開く毎日のレッスン76』 『「「ファンデーション」より「口紅」を先に塗ると誰でも美人になれる「いい加減」美容のすすめ』(講談社)、『美人に見える「空気」のつくり方 セルフケアで女を磨く79のテクニック』(三笠書房)などがある。

 

<書籍紹介>
『ディファインメイクで自分の顔を好きになる
“私だけの魅力”が絶対見つかる自己肯定メソッド

著 水野未和子
定価 1400円(税別)
10月30日発売
Kindle版も配信中!
講談社
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数々のファッション誌や広告で女優やモデルのメイクを手がけているメイクアップアーティスト、水野未和子さん。水野さんのメイクの特徴は、人によって違う、その人だけの魅力をディファイン(明確に)すること。何かを隠すのではなく、誰かのようになるのではなく、「自分になる」メイクです。この本では、あらゆる年代、あらゆる属性の誰もが自分の魅力を底上げできる「ディファインメイク」の考え方と、そのメソッドを詳しく紹介します。


メイク/水野未和子(3rd)
撮影/目黒智子
ヘア/Kazuki Fujiwara(Perle Management)
取材・文/松本千登世
構成/松崎育子(編集部)

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