お金を使わなくてもしあわせに生きられる人になりたい


「冷蔵庫にあるもので食事をつくる」「残っているものから食べる」「冷蔵庫に食材がなくなったら買い出しにいく」という基本姿勢でいれば、そういうことにはならないし、フードロスだって減るだろう。意識高い系の人たちやスーパー節約主婦にかぎらず、今あるものを使いきる姿勢と、それを楽しくやれるスキルの両方をみんなで上げていけば、深刻化が伝えられる地球上のさまざまな問題にも待ったをかけることはできるんじゃないだろうか。

と、話が少し大きくなってしまったけれど、とにかく今、自分のなかではっきりしているのは、これから先、収入が増えようと減ろうと、生活に関する支出はできるだけ減らしたいということだ。
なぜなら、お金を使わなくてもしあわせに生きられる人になりたいから。これは縮小ではなく進化で、人生のレベルアップととらえている。

本を見ながら1人で続けてきた金継ぎ。完成にこぎつけるたびにうれしくて、うつわへの愛着も増す。教室に通ってプロに教わりはじめてからは、この修復法の奥深さにますます魅せられている。

といっても、わたしは若いときからずっとこういう考えだったわけじゃない。むしろ、今よりも稼ぎがよかったぶん、お金を使うことに対しても、捨てることに関しても、もっとずっと無頓着だった。そんな過去と、収入も支出も小さく慎ましく暮らす現在を比較してみたとき、なんだか今のほうが、生活に対する充実感、すなわちQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が向上しているように思える。生活が充実しているとは、つまり、しあわせ度が上がっていると言い換えていいのだろう。それが わかった以上、人生において、お金を使うことと、しあわせを感じることをちゃんと分けて考えたいと思う。 

 

食費のレシートをスマホで撮影して記録する、たったそれだけの習慣が、この先の人生や地球の向かう先まで考えるきっかけにもなるのだ。 
 

(この記事は、小川奈緒著 『ただいま見直し中』から一部抜粋・改変したものです)

『ただいま見直し中』
著・小川奈緒
技術評論社

これまでの習慣や思い込み――お金の感覚、モノの持ち方、大切なことの優先順位、 40代の終わりを迎える著者が日々の違和感に向き合い手がかりを探っていく、爽快で心地よいエッセイ 。
日曜の晩酌をやめてみたら/おしゃれの優先順位/防災は続くよ、どこまでも/携帯料金で浮いた8千円について/ブログの毎日更新をやめた理由/アラフィフ、断食に挑戦する/メルカリへの感謝状/得意なもので勝負するetc.


撮影/渡辺貞明(1枚目画像)、キッチンミノル
構成/松崎育子(編集部)

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