パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。

 

閉経にまつわる宣告は
あまりにも悲しすぎないか?


まず最初に断っておくならば、これはあくまで私見。しかし、妄想ではありません。自分自身も体験し、周りの女性からも証言が得られたこと……。
もちろん更年期にまつわる医学的な話は、ミモレのコラムでも婦人科の先生方からしっかりとご説明いただいて、それこそが揺るがぬ真実であることに疑いようはありません。でもあえてここで、そうした「常識」とは全く逆の話をしたいので、限りなく私見であることを、ひとまずはお伝えしておきたいのです。

 

閉経……それ自体に、もはや女性が女性でなくなるような響きがあります。実際、自分自身もそういうものと思い込んでいました。いや実際、女性ホルモン、エストロゲンの分泌が激減して、その恩恵がほとんど受けられなくなるのは確か。
それにしても、なんと悲しい宣告でしょうか。まるで賞味期限のよう。毎月の煩わしさはなくなるにせよ、誰もが寂しくその時を迎える訳で、ましてやそれに前後しての更年期障害……。

誰もが悲壮感を持ってその時を迎える訳で、私自身ももちろん戦々恐々その洗礼を受けたわけですが、これこそを「拍子抜け」と言うのでしょう。身構えていたのに何事も起こらなかった、それが一つの結論です。
いやそれどころか、私の場合は閉経前よりもむしろ肌が安定したのです。もっと言うなら閉経後の肌のほうがずっと好き。

今思えば、40代から50代へのホルモンバランスの乱れは、言ってみればホルモンが暴れているような状態だったといえます。それこそ肌の中が熱くなったり冷え切ったりと乱高下している感覚があり、だからトラブルの連続。大人のニキビが居残り、いつも何だか肌荒れがあって、特に生理前後の肌の調子は最悪。思い出したくもない時代です。

それが閉経後、まるで毒が抜けるように、様々なトラブルがするすると消え去った上に、いわゆる平和が肌にやってきた感じ。そんなはずがない、そんなはずはないと思いながらも、閉経から2年3年4年と、どんどん肌が安定していく現実に、「人は閉経後の方が美しくなる」と言う確信を日々確かなものにしていきました。