言いたい人には言わせなさい


その度にフローラから
【カメになっちゃだめ。口を開けたら真っ逆さまに落ちる。言いたい人には言わせなさい。アナタが行きたい所、目指す場所だけ見て進みなさい。そんな声も、彼らの言葉の刃も届かない場所へ行きなさい】

口は禍(わざわい)の元、という日本語がイランのこの物語に通じる部分を感じます。

 

フローラはどんなときも 迂闊に口を開かない。何を言われても我慢をする。強い、本当に強くって羨ましい。一度、生い立ちを否定されて嘘つき呼ばわりされたときに、「しんどい、苦しい」とフローラの前で怒りの感情をぶつけた。

フローラは「サヘル、口を開けないで。我慢して。無視すればいい。時間がもったいない」
と言うものの、私は「お母さんは私の痛みや苦しみ、わかってない」と。

 


自分が信じるものにエネルギーを注いで


するとフローラが
【違うよ、アナタの人生は私の人生でもある。アナタが否定され、誹謗中傷されているというのは、それは私もされているということよ。何も変わらない。私だって苦しいし、腹が立つ。でも、言いたい人たちは、何を言っても言い続ける。私は自分が信じてきたものを信じるだけ。それに誰もが自分のことを好きになるはずもない。その人たちのために時間も、エネルギーも費やすほうが時間の無駄じゃない?】

ハッとさせられました。そっか、そうだね。
私の痛みは、苦しみは=フローラにも響いていく。気づけなくて本当にごめんね。
あれ以来、ずっと脳裏から離れない【アヒルとカメ】。人生はどう生きるかは、自分次第だと。
フローラの生き方は究極の孤独と弱さの中から生まれてきた【究極の強さ】です。

 

著者プロフィール
サヘル・ローズさん

俳優・タレント。1985年イラン生まれ。レポーター、ナレーター、コメンテーターなど様々なタレント活動のほか、俳優として映画やテレビドラマに出演し舞台にも立つ。また芸能活動以外では、国際人権NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で親善大使を務めている。私的にも援助活動を続け、公私にわたる福祉活動が評価され、アメリカで人権活動家賞を受賞。

『言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”』
著者:サヘル・ローズ 講談社 1430円(税込)

イランで生まれ、養子縁組した養母と8歳で日本へ。外国人母子家庭の貧しい暮らしの中、差別やいじめを経験し、自死を考えるまで追い詰められたというサヘル・ローズさん。絶望の淵に立つサヘルさんを支えてくれたのは、苦境を生き抜いてきた養母、フローラ・ジャスミンさんの言葉と、自分の中に芽生えた揺るぎのない言葉たちでした。心に苦しさを抱えるすべての人に贈る、サヘル・ローズさんからの14の言葉の花束。



構成/金澤英恵

 

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