誹謗中傷に負けない人間にしてくれた寂聴さんの言葉


瀬尾さんは寂聴さんの秘書として働くかたわら、文筆の仕事にも挑戦し、自著を出版するまでになります。しかし、それは決していいことばかりではありませんでした。

「私はもともと落ち込みやすく、小心者だ。そう見せないために堂々と振る舞うようにしている。それが『偉そう』だとか『生意気』だと言われることもある」

瀬尾さんの念願だった初著書(写真提供/瀬尾まなほ)

そんな瀬尾さんを救ったのも寂聴さんの言葉でした。長い人生でありとあらゆる困難に直面し、そのつど乗り越えてきた寂聴さんには彼女の悩みがよく理解できたのでしょう。また、その悩みが、長い人生の中で取るに足らないことも寂聴さんには分かっていたのかもしれません。

 

「私が心無い人の一言一句にいちいち傷ついているのを見た先生はこう言った。『その人の言うことを気にする必要はない。その人があなたの生活の面倒をみてくれるの? 税金はらってくれるの? そうじゃないでしょう?』」

寂聴さんの言葉は瀬尾さんの悩みを解消してくれるだけでなく、意識をポジティブな方向に転換させる力も持っていました。

「『私のことをよく知らない人に、私が傷つけられる必要はない。私を傷つけられるのは、私のことをよく知っている人だけだ』と思えた。メディアに出ることで世の中のいろいろなところを見ることが出来た。それもすべて『学び』だと前向きにとらえている」