日本の100円ショップは海外にも進出していますが、日本で100円で売られている商品は、実は海外では1.5ドルや2ドルで売られています。日本と諸外国では、すでに経済力において大きな差があり、日本国内だけ、価格が据え置かれているというのが現実です。

アメリカ・サンフランシスコのダイソー店舗。写真:YUTAKA/アフロ

米国において日本の100円ショップに相当するのは1ドルショップですが、以前は50セント均一が中心で、さらに昔は25セント均一が当たり前でした。経済成長と共に物価が上がっていくのは、ある意味で当然の結果ですから、30年も前から100円均一のままという方がむしろ不自然だったといってよいでしょう。これは、日本がいかに成長できていなかったのかという話の裏返しでもあります。

 

物価の高騰で仕入れ価格が上がっているとはいえ、100円ショップという呼び名で長く慣れ親しまれてきた業界ですから、100均の看板を降ろす訳にもいきません。今後は100均のイメージを維持しつつ、価格の高い商品の比率を段階的に上げていくという展開が予想されます。

最近は原油価格の高騰で電気代が上昇しているほか、円安も進んでいますから、店舗の運営コストも増大する一方です。100円ショップを運営する企業にとっては、悪い材料が目白押しといってよいでしょう。

消費者にとってみれば、200円や300円の商品が増えるのは困ったことですが、これは世界的な価格高騰によるコスト上昇ですから、負担を企業だけに負わせることはできません。

過度に企業にコスト負担を求めると、今度は従業員の賃金に跳ね返ってきますから、企業が値上げできなければ、最終的には私たちの収入にも影響してきます。これからの時代は、ある程度、品質の高いモノについては、お金を出さないと買えないという価値観に転換していくことも重要かもしれません。

 


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