大人になっても、いじめる人、いじめられる人は存在します。むしろ、本来は“分別が分かっているはずの大人”がいじめているからこそ、厄介なところがあります。
「大人のいじめ」とどう向き合っていけばいいのでしょうか?

 

「いじめ」だと自覚していない人も

 

もちろん一言で「いじめ」といっても、状況も違えば、対応の仕方もケースバイケースです。それを前提の上で、いじめられてしまっている人がどうしたらいいのかを、考えていきたいと思います。

「大人のいじめ」の場合は、意外といじめている側が「自分は意地悪な人間だから、相手をいじめている」と認識していないケースは少なくないのではないか、と思います。
どんな人でも、それなりに「自分は“魅力ある人間”でありたい」と思っているもので、「意地悪な人がカッコイイから、そうなりたい」なんて思う人は稀でしょう。

つまり、場合によっては、職場で「相手に迷惑をかけられているから(=相手が悪者だから)、自分は成敗しているのだ(もしくは、教育しているのだ)」と勘違いしていたり、相手が嫌がっていることが分からず、本人は「からかっている(遊んでいる)に過ぎない」と思っていたりしてしまっていることもあるのです。

だから、いじめられている場合は、まずは、相手に「それはいじめですよ」と認識させる必要があるし、きちんと「そういう嫌がらせはやめてほしい」と意思表示をしたほうがいいでしょう。
場の空気を悪くしたくないからと、笑いながら「やめてほしい」と言ってしまう人もいますが、本気度が伝わるように、真顔できっぱり言ったほうがいいのです。

また、それだけだと変わらない場合は、感情的にならずに、冷静にしかるべき対応……たとえば、きちんと証拠を集めて、上司や社内の人事部、総合労働相談コーナーハラスメント悩み相談室などに相談することは、大切です。

ただし、それでやめてくれる人ばかりではありません。中には、いじめだと分かっていながらも、「自分は悪くない」と正当化してしまう人もいます。
ハッキリ言ってしまえば、そんな理不尽な相手と同じ土俵に乗れば乗るほど、消耗していくだけ。
思想も価値観も違うのだから、「住んでいる世界が違う」くらいに考えてもいいくらいです。

どんな対策を打っても改善が見られないときは、何がいい、悪い、正しい、間違っているか、なんてことはひとまず置いといて、そんな環境からは速やかに離れたほうがいいでしょう。
なぜなら、その環境自体が「地獄」だからです。そんな環境にしがみつく必要はありません。


“いじめがまかり通る環境”は地獄


いじめる人はもちろん悪いのですが、そんな“いじめがまかり通るような環境”の場合は、その場にいる人たちみんなにも、少なからず問題があるとも言えます。
健全な精神を持っている人であれば、いじめを止めたり、その場では難しくてもいじめをなくすような行動を起こしたりすることが多いからです。

企業の中には、「弱肉強食の価値観が充満し、自分の権利を強く主張し、人と(精神的に)争って勝っていかないと生き残れないような環境」のところもあります。そんなところで長時間働き続けてしまうと、だんだんその価値観に感化され、自分も「気に入らない相手がいたら、足をひっぱるのは当然のこと」だと考えるようになってしまうこともあるでしょう。
それでは、自分の魅力が損なわれていき、仕事だけでなく、プライベートでも支障が出てくるはずです。

“人生”という大きなスケールで見たら、「その環境から逃げたら、負け」ではありません。むしろ、「そんな最悪な環境から抜け出せたら、成功」なのです。逆を言えば、いじめるような人は、そういう地獄のような環境下でしか生きられないのだから。
世の中には、本気で探せば快適な環境はあります。そういった場所を見つけ、“そこにふさわしい自分”でいたほうが、幸せでいられるでしょう。

たとえその環境から抜けられても、いじめられた人は、「自分は逃げてしまった。弱虫だ」と自己を責めてしまうケースがあります。
そんなときは、「思考を変える」ことが大切です。それについては、次のページで紹介します。

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