「もしも」を描いた世界が今読むとリアルで引き込まれる一冊


コロナ禍を予見していたかのような作品!
クリスティーナ・スウィーニー=ビアード、大谷真弓 著
『男たちを知らない女』

クリスティーナ・スウィーニー=ビアード、大谷真弓 著 『男たちを知らない女』

宇垣:3冊目はSFで、『男たちを知らない女』という作品。これはコロナ前に書かれた本なのですが、まるでコロナを予見していたのかな? というくらい、現在の状況に酷似しているところがある内容です。

 

設定は、ちょっとコミックの『大奥』っぽいんですが、かかったら男性だけが死んでしまうという病気が広がって、世界には女性ばかりになってしまった……というもの。群像劇で、いろいろな家庭のケースが描かれているのですが、罹患しないようにものすごく気をつけていたのに、夫も子どもも失ってしまった女性が、親友に娘がいることを羨んで苦しく思ったり。子どもを失ってしまった人が、その後また子どもが欲しいと思ったときどうするのか……。さらに、自分の功績を絶対に手放したくない科学者の女性は最終的に何を選ぶのか、などいろいろな視点から描かれているのが面白いです。

そんな世界では「マッチングアプリってどうなるの?」みたいな細かな話もあったりして、一種の思考実験のような……SF作品はそういうところが醍醐味なわけですが、コロナ禍を体験した身としても、「リアルだな」と思えるような内容で、すごく引きこまれました。私たちとは変わらない、市井の人びとを描いたお話だからこそ、よりいっそう彼らの悲哀が身近に感じられるんですよね。パンデミックの危機に、それぞれの立場の人間がどんな動き方をするのか、それをシュミレーションができる1冊なので、自分に鑑みて考えてみるのも面白いと思いますよ!
 

【写真】カルチャー中毒!宇垣美里が最近読んだ大人女性に勧めたい本!
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<書籍紹介>
宇垣美里 フォトエッセイ 『風をたべる2』

宇垣 美里
2200円(税込)
A5判 176ページ
ISBN:978-4-08-790095-8

『週刊プレイボーイ』で連載中のコラム「人生はロックだ!!」をまとめた1stフォトエッセイ『風をたべる』の発売から約3年半。大好評だった前作の続編として、10月26日(水)に『風をたべる2』を出版。青春時代の思い出から、彼女が愛してやまないモノたち、そして独特の世界観、本音で語った考え方など、今作も彼女の魅力がギュッと詰まった一冊。「脳内に住む6人の女たち」「働きたくない理由」「好きな男性のタイプの最適解」「男女の友情」「ギャルになりたいと思う理由」などなど、正直な思いが綴られます。



ワンピース¥60500、ベスト¥36300/フミエタナカ(ドール) チョーカー¥16500/ノムグ その他/参考商品

問合せ先/
ドール tel. 03-4361-8240
ノムグ tel. info@nomg.jp


撮影/岡田健
ヘア&メイク/岡田知子さん(TRON)
スタイリスト/小川未久
取材・文/小川聖子
構成/坂口彩