次々と高額な献金をしてしまうまでのメカニズムとは?


アツミ:それにしても統一教会って、なんでそんなに「お金」にこだわるんでしょうか。

有田:統一教会の教えの中に「この世の中の全ての財物はもともと神様のもの」という考えがあり、だから「個人が所有しているものは、“再臨のメシア(救世主)=文鮮明” を通じて、本来の持ち主である神に返しましょう」ということなんですね。

さらに、人間は「肉身」と「霊人体」を持っているというんですね。もしこの世界で「善行」を積めば、霊人体を通じて神とつながることができ、死後に霊界でもがき苦しむこともないのだと。そのための善行が「個人が所有するものを神に返すこと」なんですね。

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アツミ:でも伝統的な宗教にも「悪いことをすると地獄に落ちる」という怖い話はあるし、献金だってありますよね。

有田:でも恐怖を解決する手段=まずはお金、とはならないですよね。献金と言っても、自分の生活が立ち行かなくなるほどの高額を求められたりもしないし。

アツミ:それにしてもなんでそんなにどんどん献金しちゃうのか、何でそこまで我を忘れてしまうのか……そのあたりが、なかなか理解できないんですよね。

 

褒めてくれて、親切にしてくれて……、それが勧誘の手口


有田:勧誘の手口がすごく巧妙だということだと思います。昔からあるのは「青年意識調査」というような名目の街頭アンケートや手相診断などですね。

アツミ:私、駅前かなんかで声かけられたことあります。すれ違いざまに「あ!」とか言われて、知り合いかと思って立ち止まったんですよ。そうしたら「手相の勉強をしている」という女の人が「すごくいい相が出てるから、手相を見せてください」って。

有田:それ教会が言うところの「賛美のシャワー」ですね。

坂口:さ、賛美のシャワー!?

有田:手相だったら「すごくいい相が出ている」とか、アンケートだったら「社会意識が高い方なんですね」とか、とにかく褒めて褒めて褒めまくるんです。

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アツミ:人間って単純だから、褒められると弱いんですよね……。

有田:でもそのうちに「ちょっと気になることが。いま、転換期にあるんじゃないですか?」とか言い始め、そこから話をいろんな方向に展開させてゆきます。で「ビデオセンター」に誘われる。一人に対して信者が一人ついて、探り出した関心に合わせて見る作品を選びます。宗教に関心があるなら『十戒』とか、因縁話に関心がある人なら『八つ墓村』とか。毎回すごく優しく話を聞いてくれるんですよ。

アツミ:途中で「なんか怪しい。これ宗教じゃないの?」って気づいて、行かなくなる人も来なくなる人もいるんじゃないですか?

有田:当然いますが、最初のアンケートの目的は、そういうときのために名前、住所、電話番号を聞き出すことなんです。勧誘者は熱心に電話をかけたり、手土産をもって訪ねていき「あなたが最近来てくれないから寂しい」というような手紙と一緒に置いていったりする。信者の方って、本当に親切に近づいてきますからね。時に脅しながら。

アツミ:人のいい人なら「こんなに一生懸命にしてくれるんだから……」とか「こんなに良くしてくれるんだから……」とか、つい思っちゃいそうですね。