閉経後に増える「尿漏れ」「臓器脱」「GSM」はウロギネへ!

 

では、もし近所にウロギネの病院があったとして、どういった症状の場合、ウロギネにかかるのがよいのでしょうか?

「ウロギネを受診するとよいのは、『尿漏れ』、『骨盤臓器脱』、『GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)』です。どういった症状か、説明していきますね」

 


■ 尿漏れ
骨盤まわりの臓器を支え、生理・出産・排尿・排泄などをサポートするインナーマッスルである骨盤底筋群が出産のダメージを受けたり、加齢によって衰えることで尿が漏れやすくなります。

尿漏れには3つのタイプがあります。「尿意がなかったのに咳やくしゃみをしたときや重いものを持ち上げた瞬間に漏れてしまった」など、お腹に力がかかるタイミングで漏れてしまう腹圧性尿失禁、「急に猛烈な尿意に襲われて気づいたときにはトイレに間に合わなくなってしまう」など、脳と膀胱の連携エラーで起こる切迫性尿失禁、両方を併せ持つ混合性尿失禁です。


■ 骨盤臓器脱
骨盤底筋の損傷や衰えによって、膀胱、子宮、直腸などの骨盤内の臓器が支えきれず垂れ下がり、膣から飛び出てきてしてしまう症状です。出てくる臓器によって、膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤など名称が変わりますが、総称として骨盤臓器脱と呼ばれます。

初期の自覚症状としては、お股に何か挟まったような不快感が挙げられます。あまり馴染みのない病気かもしれませんが、出産経験のある女性はある程度の割合で発症する可能性のある病気です。


■ GSM
GSMとは「Genito urinary  syndrome of  menopause」の略で、閉経関連尿路生殖器症候群のこと。閉経後の女性ホルモン欠乏によって、筋肉まわりの潤いや弾力に欠かせないたんぱく質であるコラーゲンやエラスチンも減少します。それにより女性器まわりの粘膜や皮膚に起こるさまざまな不調をGMSと呼びます。

かつてこういった不調は「老人性腟炎」や「萎縮性膣炎」と呼ばれ、「年のせい」と放置されていたのですが、2014年に新たな概念として提唱されるようになりました。

GSMで起きるトラブルは主に3つに分けられます。
・女性器の不快感(ムズムズ・かゆみ・痛み・ヒリつき)
・尿のトラブル(頻尿・尿もれ・再発性膀胱炎)
・セックスのトラブル(性交痛・出血)

GSMは50代以降の女性の2人に1人が苦しんでいると言われていますが、まだまだ認知が進んでいるとはいえません。どれもこれも日常生活に支障をきたす不快な症状ばかりですが、それでも「なんとか我慢できる」「病気じゃないから放置している」「セックスレスだから関係ない」「恥ずかしくて人には言いたくない」と、治療に至らない方が多いです。

GSMは慢性かつ進行性疾患なので、放っておくと、陰部のかゆみ・痛み、頻尿・尿漏れ、性交痛・性交後出血などの泌尿生殖器の症状が悪化します。適切なケアや治療をしていくことで必ず症状が改善できる病気なので、気になる不調があればすぐに受診してください。

 

尿漏れ、臓器脱、GSMは、その背景に女性ホルモンの低下が大きく関わってきます。つまりこれらの症状は閉経後に起こりやすいということ。女性の身体についての知識があり、ホルモン補充や投薬、漢方、サプリ、軟膏、レーザー治療などさまざまな治療を選択肢として提案できるウロギネは閉経後女性の強い味方ということなのです」

 

平本有希子(ひらもとゆきこ)
女性ライフクリニック女性泌尿器科医。日本泌尿器科学会認定専門医。骨盤底への知識から、婦人科も診察できる泌尿器科医として、排尿障害や臓器脱など女性のトータルケアをサポート。2023年夏、清澄白河に女性向けの泌尿器科クリニックを開業予定。


取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
イラスト/shutterstock

 

 

前回記事「40代以上の女性の約40%が「尿漏れ」経験アリ。”骨盤底筋”の筋トレを今から始めるべき理由」>>

 
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