舞台上でお芝居をやっているというより、家で会話をしているような感覚です


シルビアさんを舞台で拝見すると、ひと目で惹き込まれていくほど、その演技はエネルギッシュで印象的。そうお伝えすると、「自分が映像に出ているのを見ると、びっくりするんです」とシルビアさん。

シルビア:だから映像作品に出演するときは、いかに演技を抑えるかというのを考えているんです。それでも他の方よりはオーバーなのかもしれないけれど(笑)。

だから今回は、もちろん映像でのお芝居とは違うと思うのですが、少し映像寄りに考えていこうかなと思っているところです。今後どうなっていくかはお稽古が進んでみないと分かりませんが……。今は舞台上でお芝居をやっているという感覚ではなく、家で会話をしているようなトーンでお稽古が進んでいるので。

 

――公式サイトの動画コメントでも、共演者の成河さんが「会話を大事にしていきたい」「日本語にこだわりたい」というお話をされていました。やはりお稽古場はそんな感じですか?

シルビア:今回はすごいですよ! 私の舞台経験上初めてなのですが、みんなで一緒に“セリフを作っていく”という作業をしています。出演者に英語を話す人が多いので、英語と日本語の戯曲を見比べながら、「英語でこういうふうに話しているなら、もしかしたらこのキャラクターは日本語でこういう語彙やこんな言葉遣いはしないかも」というやりとりを、稽古の最初の一週間にデスクワークでとことん突き詰めました。

英語で読んでいても、とてもさり気ない会話で進むんです。「ここは難しい言葉を使うとニュアンスが違うよね」とか「ここは文章ではなく、言葉をポンポンと発して、探している感じを出したほうがいいね」という感じで、ずっと6人で話し合って。

 

演技力の高さに定評のある方々が揃っているからこそ、このやり取りが白熱しているのが想像できそうです。


シルビア:台本に対する理解度はとても深くなっていますね。しかも全員が同じラインに立てているので、一緒に稽古をやっていてもスムーズ。これが台本だけを個々で読み進めた場合は理解が違うことも起きるんですが、それがなくて、同じ方向を向いているんです。 ものすごく頭を使うけれど、それこそ実際の“家族”みたいな気分で合宿しているようになっています。

――そこまで突き詰めても、実際に立ち稽古が始まると、またセリフが変わることもありますか?

シルビア:変わっていきますね。もちろん、元に戻ることも。「あ、やっぱり前のセリフのほうが良かったね」って。常にセリフが変わっているので、台本がほぼ真っ黒になっちゃってます。でも、自分が出ていない場面についてもすべて話し合いを続けているので、作品への読解力はかなりつきました。ここまで掘り下げることはなかなかありませんから。