売上金額によっては特例が適用される場合も


佐々木:ひとつは「2割特例」。例えばサービス業を行うフリーランスの方の場合、税込売上げが330万円だと消費税の申告額は簡易課税制度により計算するとだいたい15万円くらいになるんですが、最初の3年間は納税額を売上税額(30万円)のうちの2割(=6万円)でいいよ、というものです。すべての事業者が対象ではなくて、これまで免税事業者だった方がインボイス発行事業者に登録するために課税事業者になった場合が対象です。

もうひとつが、先ほど小泉さんも話していた1万円未満の取引に関する「少額特例」。インボイスでない請求書(領収書)でも6年間は税額控除が可能です

※2年前の課税売上が1億円以下または1年前の上半期(個人は1~6月)の課税売上が5千万円以下の方が対象

アツミ:記事一本のギャラを1万円未満に分割して払ってもらう……とかダメなんだろうか。国会でのやり取り見ていると、このへんの明確な基準の説明はまったくなかったけど。

写真:Shutterstock

佐々木:ちなみに銀行振込で料金を支払うと、銀行などの手数料がでますよね。これを課税仕入れ額として控除する場合は、金融機関や取引先からのインボイスが必要なんですが、多くの場合振込手数料などは1万円未満なので、これも6年間はインボイスでなくても税額控除が可能です。値引き・返品などに対する返金についても、1万円未満なら「インボイス」は不要に。こちらは恒久的な措置になりました。

 

アツミ:ええと、支払手数料が「課税仕入れ」に、というあたりからよくわからなくなってきちゃったんですが、つまり緩和措置の6年間が終わった後は、振込手数料に含まれる消費税10円とか控除したかったら、その分のインボイスが必要ってことですか。いやもちろん、面倒くさいからやらないけども!

常松:そうやっているうちに、チリツモ的にとられていく感じがありますね……。

アツミ:確かに!!!

小泉:「緩和措置で負担が少し軽くなる今のうちに課税事業者に!」という流れを作ろうとしているんだと思います。

アツミ:もうどこからどう手を付けていいのかさっぱり……。どうしたらいいですか。

佐々木:ど、どうしたら、というと。

アツミ:ええと、まずは消費税の申告の、最も効率的な手順とか。