漢方は医療機関での処方を。サプリメントは自分で選べる力をつける!


ホルモン補充療法が使えない人、または心理的ハードルが高いという人には、漢方やサプリメントを使うという選択肢もあります。

 

「まず、漢方はどの世代からでも使い始めることができ、副作用も少なく身体にやさしい治療法です。市販の漢方薬を使って不調が改善しているならそれを使い続けていただいてもいいですが、症状に対する適応処方の内容には個人差も大きいので医療機関を受診して処方してもらうのがオススメです。保険も適用になる薬剤もあるので続けやすいと思います」

 

「サプリメントの場合、更年期症状対策として臨床応用もされているのが『エクオール』です。ホルモン補充療法だと、ホットフラッシュや発汗、関節痛には効果が高いのですが、漠然とした不調には改善を感じられないという方もおり、サプリメントでそれが改善したというケースもあります。あとは定期的な通院や服用方法や量の管理、副作用の確認などの煩雑さがないのも大きなメリットです」

エクオールは大豆食品に含まれる「イソフラボン」が腸内細菌の働きにより代謝されてできる、女性ホルモンと似たような働きをしてくれる物質のこと。ただこの代謝が腸内で行える人は3分の1程度といわれており、エクオールをサプリメントで直接摂取したほうが確実です。

 

吉形先生は、サプリメントについては自分で選ぶ力をつけることが必要だと言います。

「サプリメントに保険適用はありませんし、選び方について詳しくない医師や飲用自体に否定的な医師も多いので、相談するとかえって不安になったり、選択肢が狭まる場合もあると思っています。なので私は、サプリメントは自分で選ぶ力をつけたほうがいいと考えています。

サプリメントは薬ではないのに、摂取することを『内服』と言う方がいますが、それは間違いです。サプリメントは薬というより食事の範囲。だから食品を選ぶのと同じ感覚で、パッケージの表記をチェックしてください。食品を選ぶときと同じように、有効成分がどれくらい含まれているか、余計な添加物が含まれていないかなどがポイントです」

吉形先生も、サプリメントは日常生活に取り入れており、エクオールサプリメントの監修も務めています。身体に不要な添加物を加えないことなどこだわって開発されたそうです。

ホルモン補充療法、漢方、サプリメント。いずれも変化の大きい閉経前後を乗り越えるための心強い味方です。このような選択肢があることを知り、来るべきときに備えられることが大切な「閉経マネジメント」といえるのです。

『40代から始めよう!閉経マネジメント』
吉形 玲美 (著)

「閉経マネジメント」とは、変化の大きい閉経前後の身体の変化に備え「自分の体を積極的にマネジメントする方法」のこと。その柱は、①女性ホルモンのコントロールと、②女性ホルモンの減少によって影響を受ける「骨の強さのマネジメント」の2つ。
40代以降の女性のライフステージを「プレ更年期」「更年期」「ポスト更年期」の3つに分け、それぞれのライフステージで何をすればいいかをわかりやすく解説しています。もっと知りたい人のためのQ&Aや、患者さんの体験記もたっぷり盛り込んだ、いつまでも健康な女性でいるための方法がギュッとつまった1冊です。

 

吉形 玲美 (よしかた れみ)
医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
産婦人科臨床医として医療の最前線に立ち、婦人科腫瘍手術等を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、2010年より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院産婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事。月経不順、妊活、更年期など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。’22年7月『40代から始めよう!閉経マネジメント』(講談社)を上梓。


取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
イラスト/shutterstock

 

 

前回記事「突然の高血圧、ドロドロ血、カチカチ血管...。女性の生活習慣病は閉経後にやってくる」>>