Q.性交痛があり、セックスを拒んでいたら年下の夫から離婚を告げられてしまいました……。

A.閉経後の女性の性交痛は、ホルモン補充療法で治療できます。夫婦のトラブルになる前に病院に来ていただきたいです。

 

これは、ご主人が離婚を決意してしまう前に病院にきていただきたかった……と、非常に残念に思ったケースです。

閉経により女性ホルモンが減少することで、性交痛の症状が起こりやすくなります。実際に更年期の患者さんでセックストラブルで受診される方は10%程度ですが、そのほとんどが「性交痛」のお悩みです。

診察ではフェムゾーンの所見、骨盤底筋の筋力を診て、男性ホルモンと女性ホルモンをチェックします。局所のホルモン補充療法などで性交痛はほぼ改善します。治療できる問題なので、お悩みの方は夫婦間のトラブルになる前に受診してくださいね。

 

Q.夫は仕事も家庭のことも一生懸命で本当にいい人。ただ、セックスだけは自分本位で、正直気乗りしません……。

A.男性は驚くほど女性の身体を知りません。たとえば騎乗位にして、女性優位なセックスを試してみるのはどうですか?


「求められるけど、したくない」「自分はしたいけど、してもらえない」「セックスが気持ち良くない」などといった様々な相談を受けます。患者さんたちのお話を伺っていると、医学的な問題だけではなく、パートナーとのコミュニケーションがとれていないのが大きな原因だと感じます。

まず、年齢を重ねた男性であっても、みなさん驚くほど女性の身体をわかっていません。セックスや女性の体について教えてもらったこともなく、AVなどを鵜呑みにし、クリトリスの位置すらきちんと知らない男性も多いのです。最初にお話ししたように、中高年夫婦のセックスは嗜好品です。嗜好品なのだから、お互いに気持ちの良いセックスでなければする必要がない。「わかってくれない」ではなく「わかってもらう」には、明確に自分の要望を伝えることも大切です。

私はこういった相談を受けると、よく「たとえば、騎乗位にしてみたらどうですか?」というアドバイスをします。男性優位のセックスで痛みが伴う場合は多いです。それだけで解決する方がいっぱいいらっしゃいます。女性が自分の痛みや快感をコントロールするとセックスの問題が解決する場合があります。

ちなみに、欧米での正常位は騎乗位のことで、日本とは発想が逆になっています。自分のペースで動くことで、気持ちいいセックスをするようにしましょう。言い出しにくいセックスのことも、医者からのアドバイスならパートナーにも言えたというお声もいただいています。